ーおい、ボーナス出たか?
ーまだだよ。今年は遅いし半分に減らされちまうんだ。
ーきっとリストラされないだけマシだろ、って言い分なんだよ、
経営は。
ー手を付けやすいボーナスをまず減らして、次は給料って
算段なんだろ。
ーそもそもグローバル化、グローバル化ってカネとモノは
世界中自由に動き回るけど、ヒトはそうはいかない。
企業からすればグローバル競争に勝つために人件費の
安いところに行くのは当たり前だ、国内で雇用を確保するには
人件費下げるしかないじゃないかって理屈になってる。
ー企業はグローバルかもしれないけど、人の暮らしはグローバル
じゃないよな。生活コストの違うところと同じ基準で
給料考えられちゃたまらんじゃないか。
ー衣料品にしろ、食品や工業製品にしろ規格化された大量生産品
は安い値段でグローバルマーケットで売りさばいていかないと
儲けがでない。われわれがそういう製品に頼って生活するのは、
結局グローバルなコスト競争に自らを放りこんでるってことに
なっちまうんだよ。
ーじゃどうすればいいんだ?
ーグローバルに対抗するにはローカルしかないんじゃないのかな。
極力地元で作られた高い品質の製品で生活を成り立たせて
いくんだ。
ーバカ言うなよ。まず収入が増えないとそんな優雅なこと
言ってられないよ。何とか安いもの買おうと必死なんだから。
ーでもそれで今まで通りグローバルな大量生産品買ってると
ますます収入は減っていくぞ。