2010年8月22日日曜日
亀の甲
ーウチに今年104歳になるばあさんがいるんだけどさ。
ー知らないうちにどこかへ出て行ったって話じゃないでしょうね。
ーいやいや、98歳の時に京都からこちらへ移り住んだんだ。
それまで京都を離れたことなかったんだけどね。
ーそんな歳とってから初めてのところに来て大丈夫だったの?
ー元気、元気、京都に比べてこっちは田舎やなぁ、とか言ってる。
図太いばあさんだよ。
ー亀の甲より年の功、っていうからお年寄りならではの知恵が
あるんじゃないの。
ーいや、知恵なんてほとんどない。わがままなだけ。言いたいこと
言って、食べたいもの食べてる。
ーすごいおばあさんじゃない。
ーでも思うんだけど、老人に別に年の功なんていらないんだよ。
亀の甲だけで充分。
ーって言うと?
ー亀の甲って何の役にも立たないけど、それ見てるだけで
何か生命の不思議さ、おもしろさを感じるじゃないか。
役に立つか、立たないかだけで判断される世の中なんてつまらない。
ウチのばあさん見てると、生きてるってそれだけのことが面白い
って感じられるもん。そしてその生命を自分が受け継いでいる
ってことの不思議。それって「生きる」っていう上で一番
大事な根本の感覚だと思うよ。
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1 件のコメント:
どんなに生きていても、誰か他人に影響を与えているんでしょうね。「人生前半は借りながら生きて、後半は借りを返しながら生きる」とか言った人がいましたが・・・・。自分はまだ借りているような気分もありますが、すこしづつ返していかないと。やはりいろんな人と関わって生きたいものです。
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