2009年11月8日日曜日

京都のタクシー


ー先週末、用事があって京都へ行ってきたよ。
ーもう紅葉していた?
ーもみじはまだだけどね、桜とかは色づいてきれいだった。
ー人が多くて移動が大変だったんじゃない?
ー道は混んでたね。でも京都はそんなに大きな街じゃないし
 タクシーが安いから、ついついタクシーに乗っちゃうんだよ。
ー地下鉄は限られてるし、バス路線は複雑だから、何てったって
 タクシーが便利ってわけね。
ーそれでつくづく思ったけど、京都の運ちゃんってよく
 しゃべるんだよ。
ーていうと?
ー乗り込むだろ、「ほな、どこ行きまひょ?」から始まって
 「どちらからおいでやした?」「どちらにお泊まりどす?」
 は常套で、天気の話やら今年は紅葉が早いとか、遅いとか
 どこそこでこんなことやってるとか、だれそれがこんなこと
 言ってたとか、ありとあらゆることしゃべるんだよ。
ーにぎやかそうだね。
ー10回タクシーに乗ったら、まあ9人はこうだね。
ーでもわずらわしく思うお客さんもいるんじゃないの?
ー東京じゃタクシーに乗ってから降りるまで一言も口きかない
 ことだってザラじゃないか。最初はちょっと面食らうけど
 運ちゃんとよもやま話している間に目的地に着くのは
 楽しいし、なんとなく安心できるもんだよ。
 東京じゃタクシーは単に移動の道具だけど、京都では
 コミュニケーションの空間として成り立ってるって
 感じがするね。
ーよその都市ではどうなのかしらね?
 東京流と京都流とどちらが一般的なのかしら?

2009年10月25日日曜日

向日葵三題


ー蔡さんの今度の展覧会では「生命の詩」(10月4日記事に画像あり)
 と題したひまわりの絵がすごく評判よかったそうよ。
 早くに赤丸が付いてたけど、これが欲しかった!っていう人が
 随分多かったみたい。
ーひまわりという生命の核がビッグバンを起こして、その粒子が
 宇宙に飛び散ってるって感じがする。とても鮮烈なイメージだね。
ー「ひまわり」っていうとゴッホが有名よね。
ーこちらも「生命感溢れる」って先入観があるけど、ぼくにはそうは
 見えないね。逆に打ちひしがれて、しおれていきそうな悲しみを
 感じるよ。
ーこれはアルルの「黄色い家」を飾るために描かれた絵でしょう。
 もうじきゴーギャンとの理想の共同生活が始まるって
 わくわくしながら描いたんじゃないの。
ーきっとそんな共同生活はうまくいきっこないって予感が
 あったんだよ。でもゴッホにとってその共同生活だけが生きる
 望みであったから、必死でそんな思いを打ち消して、いそいそ
 準備に励んでたんだ。でもAfterの予感が隠しようもない
 悲しみになって絵に表れてる。
 不幸にしてその予感は的中してしまうんだけどね。
ー確かに両サイドのひまわりはしおれてるし、ほかのも今にも
 崩れ落ちそうね。
ーところで最近、伊藤若冲「動植綵絵」の中の「向日葵雄鶏図」
 を見たよ。
ー動植綵絵は今、東京国立博物館で全30幅が展示されているわね。
ーこちらは色鮮やかにポーズを決めている雄鶏が主人公だけど
 周りの向日葵がすごく妖しいんだ。
ーどういうこと?
ー向日葵の内側に折れた花びらが食虫植物の触手のように
 今にも雄鶏に絡み付こうと、虎視眈々狙っている感じがしないか?
ーそう言われれば、花びらがねちっこい指みたいだわね。
ー花の真ん中の筒状の部分だって細胞がもぞもぞしてそうだし
 葉っぱも型取りされたような丸い穴やシミが妙に妖しい。
 朝顔だって花のまだら模様とか、つるの絡み具合とか
 妖しい息遣いを感じてしまうよ。
ー確かに、無垢な雄鶏を自分の体内に取り込んでしまおうと
 背後からヒタヒタ植物が迫っているって感じね。
ー若冲という人は寝ること、食べること以外はひたすら絵を描く
 単調な毎日だったらしいけど、心の中では描くことに
 どれほど狂おしい思いを持っていたか、ちょっと空恐ろしい
 気がするね。


ひまわり(損保ジャパン東郷青児美術館所蔵のもの)


向日葵雄鶏図

2009年10月21日水曜日

蔡國華展閉幕


昨日、京橋・金井画廊の「蔡國華展」が閉幕しました。
11日間の会期中、実に2000人を超える方々が会場を訪れ
熱心に作品をご覧くださいました。
蔡さん、金井さんともにただただ感謝、感謝とのことでした。
どうもありがとうございました。
簡単ですがご報告させていただきます。

2009年10月18日日曜日

タクシーと指輪とレストラン


加藤和彦さんが亡くなりました。
秋の青空の向こうに何があるのか見たくて
飛んでいってしまったのかもしれません。
『あの素晴らしい愛をもう一度』、同世代が集まり歌を歌う
機会があると、必ず最後はこの歌の大合唱です。
「あの〜」のところを唸る者、がなる者、叫ぶ者
みんなそれぞれその一瞬、自分の青春に還っています。

ぼくは加藤さんの『あの頃、マリー・ローランサン』という
アルバムを愛聴していました。
その中にこんな歌詞があります。

 友だちから きいてきた
 流行りの そのレストラン
 満員で断わられ
 途方に暮れた僕に

 「歩きましょう」と からませた 指と指に
 あの頃は いつでも
 ふたりの愛が
 優しく 往ったり来たり 若い日の思い出…
 (詞:安井かずみ 曲:加藤和彦 
  『タクシーと指輪とレストラン』より)

これっぽっちの情報と、あり余る思いを抱えて生きていた
そんな時代にふさわしいアーティストでした。
今はきっと安井かずみさんと腕を組んで Heaven's Avenue を
闊歩されていることでしょう。
ご冥福をお祈りします。

2009年10月12日月曜日

煌めく街


ー金井画廊の蔡國華展を見てきたよ。
ーどうだった?
ー人物、風景、静物、どの絵もみんな想像力がかきたてられて
 見飽きることがなかった。
 「煌めく街へ」(前回記事に画像掲載)とか、ドブロヴニクの
 街を描いた作品があったけど、赤い屋根がすごく印象的だったね。
ードブロヴニクってアドリア海の真珠っていわれるクロアチアの
 街よね。
ー海に面した家の屋根という屋根がみんな同じ赤い色で塗られて
 いるそうだ。太陽の光で屋根が輝いてるんだけど、蔡さんは
 屋根自体が光の粒子をはらんで自らきらきら煌めいている
 ように描いているんだね。
 屋根の煌めきはきっとその屋根の下にすむ人たちの心の
 煌めきなんだよ。
ー何世代にもわたって赤い屋根の景観を守るためには、いろいろ
 大変なことがあっただろうからね。
 真珠を輝かせているのは、人の心の営みってわけね。

蔡國華展の様子です。





 

2009年10月4日日曜日

東京・京橋で蔡國華展開催!


昨年に続き、京橋・金井画廊にて蔡國華展が開催されます。

 * 10月10日(土)〜 20日(火)
   11:00 〜 19:00 (最終日は 17:00 まで)
   会期中無休
 * 金井画廊 (☎03-5250-0860)
   地図は画廊HPの案内をご覧ください。

悠久の時間の中でそれぞれの生命を瞬かせている存在
の姿を是非ご覧ください。

Partner

煌めく街へ(アドリア海の真珠)

生命の詩

青林檎

2009年9月28日月曜日

クール・ジャパン


ー民主党政権になってどの大臣も自分の頭で考えたことをしゃべって
 いるから、内容の当否はさておき、その大臣が何を考えどうしようと
 しているかはよくわかるね。
 大臣が官僚のペーパーを見て意味不明のことをしゃべっていた自民党
 時代と比べ、これだけで随分風通しがよくなったと思わないか。
ー直接関係ないけど、鳩山首相の幸夫人の言動もユニークでいろいろ
 物議をかもしてるわね。
ー言動だけじゃなくてファッションについてもあれやこれや随分
 言われてるね。確かに外遊出発時のチューリップみたいなスカート
 なんか目立ってたもんな。
ーあれはコシノヒロコさんデザインのバルーンスカートなんだよ。
 裾の絞りが舞台衣装みたいで優雅じゃない。
 彼女はもちろん日本人デザイナーのものを着るっていう意識が
 あったでしょうけど、それ以前に自分はこれを着たいから着るんだ!
 って気っぷのよさが感じられるじゃない。なかなかいかしてるわよ。
ー王朝の昔から装いに関しては、日本はいつも世界の最先端
 だったからね。そういう意味じゃファッションデザインは
 クールジャパンの象徴だよ。
 これからは業界の人だけじゃなくて、国のリーダーたちも
 どんどん日本のファッションデザインに身をつつんで
 一皮むけた日本文化を世界の人に見せてほしいね。
 

2009年9月23日水曜日

彼岸花



ー庭の鉢植えの彼岸花が
 咲いたよ。
ーきれいに咲いたね。
ー不思議に思うんだけど
 彼岸花って、どの年でも
 ちゃんとお彼岸のときに
 咲くんだ。
 それに複数株あっても
 みんなほぼ同時に咲くんだよ。
ーだから彼岸花っていうんじゃない。
 群生して一斉に咲くのは見事よね。日高の巾着田とか有名じゃない。
ーそれって不思議じゃないか?
 で、調べてみたら彼岸花は種子で増えることができないんだって。
 どの株もさかのぼれば、中国から伝わったたった一球の球根に
 行き着くそうだ。
ー種で増えることができないって、確かソメイヨシノもそうだったね。
ーそう、どちらの花もみんな同じDNAを持っているんだ。
ーだから同じ場所の花は、一斉に咲いて一斉に散るのね。
ー日本人は一斉に咲いて一斉に散るって好きだからな。
 どこか妖しく、狂おしい気持ちにさせるものがあるんだね。

2009年9月13日日曜日

大地の芸術祭


ー新潟の越後妻有の里で開かれていた「大地の芸術祭」も今日で
 閉幕だね。
ー何、それ?
ー十日町、津南町周辺の街や里山を舞台に3年に一度開かれる
 アートの祭典なんだ。今回は約370の作品が広大な地域の
 あちこちに点在している。世界のあちこちから著名な
 アーティストも参加してるんだよ。
ー370も作品があるんだったら、とても見て回れないじゃない。
ー全部見ることないんだ。ガイドブックをパラパラ見て
 気に入ったものを順に尋ねていけばいいんだ。
 自分好みのアート巡礼の旅を作ればいいんだよ。
 地図を広げ、作品の場所をポイントし、どう回るか
 あれこれプランを練るだけでも楽しいよ。
ー一カ所にまとめて作品を展示してあったほうが、見るのも
 見やすいし、他の作品と見比べることが出来るから
 いいんじゃないのかな。
ーこの芸術祭の醍醐味は単に作品そのものを鑑賞することじゃ
 ないんだ。この地域の人たちは太古の昔から、畑をつくり
 田をつくり、山を切り開いて見事な棚田をつくり、深い雪
 に閉じ込められる冬は糸を紡いで織物を織ってきた。
 そうして綿々と続いてきた長い時間のなかで、どの人にも
 どの家にも、どの集落にも豊かな物語が紡がれてきた。
 でも今や過疎の現実の中でそうした物語を紡いできた
 コミュニティーは風前の灯火になっている。
 そんなところに多くのアーティストが入ってきて、
 それぞれがそれぞれの物語にインスピレーションを受けて
 その物語を世界の人が普遍的な形で感じられるような
 ものに作り替えてるんだ。
 アートは物語の発信装置で、主人公は妻有の里を豊かに
 色どって来た物語そのものなんだよ。
ーなんだか難しいわね。
ー妻有の里では地域が崩壊して物語が消滅する寸前にこの
 フェスティバルが始まって物語はつなぎとめられたけど
 今や日本の街や里からどれだけの勢いで物語が消えつつ
 あるかを考えると、何かとりかえしのつかないことが
 起こってる気がする。
 それに誰よりも物語を必要としているのは、実は都会の
 根無し草のぼくたち自身だからね。
 論より証拠、今回は「大地の芸術祭秋版」をやるそうだから
 行ってみたら。
ー「物語」なんて言ったってわたしはよくわからないけど
 秋は空気も食べ物もおいしそうだから、行ってみたいな。

わたしの「妻有アート巡礼の旅」写真はこちらをどうぞ。
大地の芸術祭_09

2009年8月30日日曜日

展覧会のご案内




軽井沢にて蔡國華作品展「旅人」が開催されます。
 * 9月1日(火)〜15日(火) 2009年
    9:30 〜 17:30
 * 軽井沢ギャラリー蔵
   長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2471-1
   離山公園内
初秋の爽やかな風の中、蔡さんの大作を含む作品を是非ご堪能
ください。


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