2010年10月31日日曜日

諸聖人の国


ー今年はハロウィンの仮装行列も台風で散々だったみたいだね。
ー楽しみにしていたのにがっかりの人も多かったみたい。
ーでもハロウィンって、いつの間に日本の年中行事として
 こんなに定着しちゃったんだろ。
 しかも本来の宗教的意味なんかどこ吹く風だから
 眉ひそめる人もいるよね。
ー堅いこと言わなくてもいいんじゃない。
 本場でも宗教的にどうのこうのって言うより、お祭りの
 ノリなんだから。クリスマスにしたってバレンタインに
 したって暮らしに彩りを加えるアクセントだって考えれば
 いいのよ。
ー考えてみれば、古代日本では仏教は金ぴかの舶来宗教だった
 のに、いつのまにか普段の生活に根付いて土着の宗教みたいに
 なってる。一方で古来の神道もそのままに信じられてきてる。
 その後もいろんな宗教の神さまが入ってきたけど、政治的に
 弾圧されたのを別にすれば大体大らかに受け入れられてきた。
 日本人にとっていろんな神さまはご近所のいろんな隣人と
 一緒なんだよ。いろんな神さまと一緒に暮らしていて
 違和感がない。
 これぞ先進の社会生活モデルと言ってもいいんじゃないかな。
 世界中の人がこんな感覚で暮らしてれば、世の中ずいぶん
 平和になると思うよ。

2010年10月11日月曜日

指揮者の手


ー金井画廊で今開催されている個展に、蔡さんは
 "Conductor"という作品を出品してるわね。
ーいつもジャズプレイヤーを描いた作品は出品しているけれど、
 クラシックの指揮者を描いた作品は初めてじゃないかな。
ー日本でも人気が高い、ポーランドの長老指揮者がモデル
 だって聞いたけど。
ー音に集中している顔の表情と、早いタッチで描かれた体の
 背景から浮かび上がった指揮棒と手が印象的だね。
ー特に指のダイナミックな動きが生き生き描かれているのが
 魅力的じゃない。
ー流麗な動きの一瞬を捉えた指先から、律動感溢れる音が
 次々聞こえてきそうだね。
 楽興の時がこの一枚に見事に表現されていると思うよ。