2010年5月30日日曜日

蔡國華展@永井画廊


6月8日から蔡國華展が開催されます!
今回は銀座「永井画廊」での初の個展になります。
画廊主の永井龍之介氏はTV東京「開運!なんでも鑑定団」鑑定士
としておなじみですね。

 * 永井画廊 蔡國華展
   6月8日(火)〜25日(金)[日休]
   11:30 〜 19:00

絵画による大河小説を思わせる「何来何去」の連作、祈る手の姿の
中に究極の人間性を感じさせる「願」のシリーズなど、蔡さんの
本領が最も発揮される人物表現の大作が展示されますので、
機会が許せば永井画廊の展覧会、是非ご覧ください。

(頭の絵は「何来何去」(部分)預言者達、182x273㎝)
 

2010年5月23日日曜日

青もみじ


ー今の季節、若葉が鮮やかで目にしみるね。
ー5月の青空の下で若葉がそよいでいるのは、誰が見たって
 美しいって感じる景色だもの。
ーぼくは特に青もみじが好きだな。風の中で青もみじが波打って
 いると、青嵐ってことばを実感するよ。
ーでもあまりにも生命ではちきれそうな景色を見ていると
 ふっと淋しさを感じない?何か自分だけ取り残されてるみたいで。
ーその感じわかる。自分だけ置いてけぼりをくっているような
 逆に自分だけこの生命の響宴からどこか遠くへ立ち去って
 行きたいような。
 芭蕉が奥の細道に旅立つとき
   行く春や鳥啼き魚の目は泪
 って詠んだのも、そういう感じなんじゃないかな。
ー私にとってその感覚っていうのは陽水の「5月の別れ」かな。
   風の言葉に諭されながら、別れゆくふたりが5月を歩く
 ってなんかすごくわかるよ。でも陽水は希望も残してくれてるんだよ。
   星の降る暗がりでレタスの芽がめばえて
   眠りから醒めながら夢をひとつだけ、あなたに叶えてくれる
 ってね。

2010年5月16日日曜日

Think different


ーiPadがずいぶん話題になってるわね。
ー予約開始の10日に八重洲のソフトバンクショップに行ってみたら
 もうすごい行列なんだ。まだ予約だけだよ。
 それで12日には予定数はすべて予約済み、次回の予定はありません
 って張り紙が出されてて、行列用の柵だけ長々と残ってた。
 いやはやすさまじいね。
ーやっぱりデザインがいいからみんな欲しくなるのかしらね。
ーアップルの製品はまずデザインだってよく言われるけど、それは
 単に見てくれのことじゃないと思うんだよね。
ーでも見た目もすごくカッコいいじゃない。
ーそうだけど、Macとかを実際に使ってみるともっとスゴい!って
 きっと思うよ。
ーどんなふうにすごいの?
ー機能的に驚くこともあるけど、それよりも感覚的な部分、触ってて
 気持ちいいし、使っててなんだか可愛くなるんだよ。
 おおこんな反応するか!とか、よしよしいい子だぞとか思いながら
 なんかPCと遊んでる気分になるんだ。
ーバカバカしい、機械でしょ!生き物じゃないんだから。
ーいや、でも本当にペットと戯れてるって気分になってくるんだ。
 これはWindowsマシンじゃありえないことだね。
ーどうしてそんな感覚になるのかしら?
ーアップルといえばスティーブ・ジョブズじゃないか。
 フツーの企業家やPC開発者はいかにローコストで高い処理能力を
 備えたPCを作るかってことにエネルギーを集中するよね。
 Windowsという汎用OSをあらゆるメーカーのPCに載せるのは
 効率から考えればベストモデルだと思う。
 でもジョブズは最初からそんなことは微塵も頭になくて、ただ
 自分が使って楽しいマシン、こんなこともしたい、あんなことが
 できたらというマシンを、実際この世に生み出すことに没頭して
 きた人なんだ。それはマシンの見た目、さわり心地、使い勝手、
 機能、すべてにかかわることだからマシンのハード、ソフト、
 すべて自前で作ることにとことんこだわった。コスト二の次でね。
ーMacといえばOSも独自のMacOSだったわね。
ーあまりにその完全主義が行き過ぎて、ジョブズは一度アップルを
 追い出されたけど、世をあげてWindowsになりアップルがつぶれ
 そうになったとき再びアップルに戻ってきた。
ーよくつぶれずに立ち直ったわね。
ーWin95が席巻していたころ、誰もがアップルももはやこれまでと
 思ったけどね。そこに戻ってきたジョブズが投じた最初の一石が
 例の"Think different"キャンペーンCMだったんだ。
ー日本でも「クレイジーな人たちがいる」で始まるCMを流してたわね。
 よく覚えてるわ。
ー印象深いCMだったけど、アップルはお先真っ暗でいよいよ気が
 ふれたかって感もあったね。でも今見てみるとこれはクレイジーな
 ジョブズの信仰告白だよ。オレたちは効率よく仕事をこなそうって
 そんな人のためにコンピュータ作ってんじゃない。何かわからない
 新しいことを夢中で生み出そうとしている、そんな人のための
 コンピュータを作るんだってね。
ーつぶれそうになってるのに、やっぱりクレイジーよね。
ーとってもクレイジーだけど、ジョブズには確信があったんだと思う。
 時代に取り残されてるように見えるオレたちこそ、実は時代の
 最先端を走っているんだってね。
 このあとスケルトンのiMacが出、iPodが出て、そこからアップルの
 快進撃が始まったんだよ。
ージョブズに言わせれば時代がやっとアップルに追いついてきた
 ってことね。
 でも世の中、クレイジーがあたり前になってきちゃったら
 それはそれで困りものだわね。
 

2010年5月9日日曜日

ポーランドと沖縄


ーショパンが生きた時代のポーランドはロシアの属国だったわね。
 王さまがロシア皇帝で。
ーそう、18世紀以降のポーランドは大国ロシアとドイツの狭間で
 何度もつらい目にあってるね。
 18世紀末にはロシアとプロイセン、オーストリアとの間で
 ポーランド分割が行われポーランドという国自体消滅して
 しまったし、ナポレオン戦争でフランス配下に入った後
 ウィーン会議でロシアの属国にされてしまう。
 独立を目指して民族蜂起が起き、ショパンが祖国愛に熱狂した
 のはこの頃だよ。
 ロシア革命後もソヴィエトとの間で戦争が起きているし、ドイツも
 何かにつけ干渉してくる。
 第二次大戦の引き金を引いたのはナチスドイツのポーランド侵攻だし
 ソヴィエト軍も当然攻め込んできて国土が戦場の修羅場になった。
 大戦後はまた長く厳しいソ連の圧政に苦しめられた…
ー両大国に挟まれているからって、あんまりだよね。
ーでもこのポーランドの歴史って沖縄の歴史と二重写しに見えないか?
ーというと?
ー沖縄も江戸時代までは琉球王国って独立国だったじゃないか。
 でもこちらは日本と中国の間で巧みに立ち回って一応の
 平和を保ってきた。
ー日本と中国の間に入った貿易で大きな富を築いたって聞いたことが
 あるわ。
ーポーランドと違って海で隔てられてるから、日本からも中国からも
 攻め込まれることはなかったんだね。逆に琉球がそこにあることが
 日本にとっても中国にとっても利用価値がすごく大きかったんだ。
 でも明治政府になって、圧倒的な力の差で日本に組み入れられて
 しまう。
ー中国は何も動かなかったの?
ー当時の清にはもうそんな国力はなかったんだ。
 日本に組み入れられた後の沖縄は開発から取り残され
 本土から見るとずいぶん貧しい生活だったらしい。
 それが第二次大戦では日本を守るため、唯一地上戦の戦場に
 なってしまった。
ー沖縄の人が差別されてるって感じるのは、そこら辺にも原因が
 あるわね。
ー自分たちの島なのに、自分たちの思いと関係なく大国の思惑に
 翻弄される歴史があり現実がある。それが許せないんだよ。
 
 

2010年5月5日水曜日

熱狂の日


ー連休中の恒例イベントだけど、今年も東京国際フォーラムをメインに
 「熱狂の日」音楽祭をやってたね。
 ふらっと立ち寄れて、お値段も雰囲気もカジュアルなコンサートが
 多くて、ずいぶん人気みたいじゃないか。
ー人気がありすぎて、もうふらっと立ち寄るってわけにはいかなく
 なってるわよ。今年は前売りでチケット完売ってコンサートが
 多かったもの。
ー生誕200年で、今年のテーマ作曲家はショパンだったろ。
 ショパンに「熱狂」ってことばはあんまり相応しくない気が
 するね。
ー同時代のリストには「熱狂」はぴったりだけど、ショパンは
 「親密」とか「繊細」とかのことばが似合いそうね。
ーこの時期、丸ビルで「ショパン展」をやっていて、死後すぐに型取り
 されたという「左手」やマズルカの自筆譜などが展示されてたけど
 指もどきどきするくらい繊細だし、音符もそこに書かれてるのは
 ショパンの脈動だと感じられるくらい官能的だよ。
ーショパンと言えばジョルジュ・サンドとの情熱的な恋が有名だけど
 生涯かけて愛したのはきっと祖国ポーランドだったんでしょうね。
 ロシアからの独立を支持する危険思想の持ち主として、
 祖国ポーランドへ帰ることを熱望しながらかなえられず
 死後遺言でその心臓だけがやっとポーランドに帰れたんですものね。
 彼は望郷の思いを、マズルカやポロネーズの作曲に託し続けたのよ。
ーショパンのポーランドへの熱い思いこそ「熱狂の日」に
 相応しいってわけだね。