2010年5月16日日曜日

Think different


ーiPadがずいぶん話題になってるわね。
ー予約開始の10日に八重洲のソフトバンクショップに行ってみたら
 もうすごい行列なんだ。まだ予約だけだよ。
 それで12日には予定数はすべて予約済み、次回の予定はありません
 って張り紙が出されてて、行列用の柵だけ長々と残ってた。
 いやはやすさまじいね。
ーやっぱりデザインがいいからみんな欲しくなるのかしらね。
ーアップルの製品はまずデザインだってよく言われるけど、それは
 単に見てくれのことじゃないと思うんだよね。
ーでも見た目もすごくカッコいいじゃない。
ーそうだけど、Macとかを実際に使ってみるともっとスゴい!って
 きっと思うよ。
ーどんなふうにすごいの?
ー機能的に驚くこともあるけど、それよりも感覚的な部分、触ってて
 気持ちいいし、使っててなんだか可愛くなるんだよ。
 おおこんな反応するか!とか、よしよしいい子だぞとか思いながら
 なんかPCと遊んでる気分になるんだ。
ーバカバカしい、機械でしょ!生き物じゃないんだから。
ーいや、でも本当にペットと戯れてるって気分になってくるんだ。
 これはWindowsマシンじゃありえないことだね。
ーどうしてそんな感覚になるのかしら?
ーアップルといえばスティーブ・ジョブズじゃないか。
 フツーの企業家やPC開発者はいかにローコストで高い処理能力を
 備えたPCを作るかってことにエネルギーを集中するよね。
 Windowsという汎用OSをあらゆるメーカーのPCに載せるのは
 効率から考えればベストモデルだと思う。
 でもジョブズは最初からそんなことは微塵も頭になくて、ただ
 自分が使って楽しいマシン、こんなこともしたい、あんなことが
 できたらというマシンを、実際この世に生み出すことに没頭して
 きた人なんだ。それはマシンの見た目、さわり心地、使い勝手、
 機能、すべてにかかわることだからマシンのハード、ソフト、
 すべて自前で作ることにとことんこだわった。コスト二の次でね。
ーMacといえばOSも独自のMacOSだったわね。
ーあまりにその完全主義が行き過ぎて、ジョブズは一度アップルを
 追い出されたけど、世をあげてWindowsになりアップルがつぶれ
 そうになったとき再びアップルに戻ってきた。
ーよくつぶれずに立ち直ったわね。
ーWin95が席巻していたころ、誰もがアップルももはやこれまでと
 思ったけどね。そこに戻ってきたジョブズが投じた最初の一石が
 例の"Think different"キャンペーンCMだったんだ。
ー日本でも「クレイジーな人たちがいる」で始まるCMを流してたわね。
 よく覚えてるわ。
ー印象深いCMだったけど、アップルはお先真っ暗でいよいよ気が
 ふれたかって感もあったね。でも今見てみるとこれはクレイジーな
 ジョブズの信仰告白だよ。オレたちは効率よく仕事をこなそうって
 そんな人のためにコンピュータ作ってんじゃない。何かわからない
 新しいことを夢中で生み出そうとしている、そんな人のための
 コンピュータを作るんだってね。
ーつぶれそうになってるのに、やっぱりクレイジーよね。
ーとってもクレイジーだけど、ジョブズには確信があったんだと思う。
 時代に取り残されてるように見えるオレたちこそ、実は時代の
 最先端を走っているんだってね。
 このあとスケルトンのiMacが出、iPodが出て、そこからアップルの
 快進撃が始まったんだよ。
ージョブズに言わせれば時代がやっとアップルに追いついてきた
 ってことね。
 でも世の中、クレイジーがあたり前になってきちゃったら
 それはそれで困りものだわね。
 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

日本でジョブズが出てきてほしいと思うのは無理でしょうか?
日本の製造業の行く末を考えると絶望的になります。不況でますます保守化、官僚化していくエリート達、YESマンを重用する経営者達、異なる意見に聴く耳を持ない風土、全員同じバスに乗りたがる中間層。異質の蛋白質が未曾有の危機に力を発揮する可能性を認識していないのか、それを残しておく精神的余裕がないのかわかりませんが、いずれにしても「敗戦」的危機が現実化するまではだめかもしれませんね。