2010年12月5日日曜日

赤い鳥


ー赤い鳥、小鳥、なぜなぜ赤い、赤い実を食べた
 って歌があるけど、赤い実を食べたって赤い鳥にはならないよな。
ーつまんないこと言わないで!
 今の季節、赤い実をつける木が多いから、鳥たちが集まって
 ついばんでると、赤く染まってるように見えるじゃない。
ー確かにこの季節、赤い実をつけてる木が目につくね。
 家の庭でも南天と万両が赤い実をたくさんつけてるよ。
ーサンザシに赤い実がたわわについてるのはゴージャスだし
 葉が落ちたハナミズキに赤い実が残ってるのも風情があるわね。
 それにクリスマスとなれば、なんといってもヒイラギだし。
ー実が赤いのはやっぱり鳥の目につきやすくするためかな。
 鳥に食べてもらって、種を遠くに運んでもらうっていう。
ーそうでしょうね。でも実を赤くすれば目立って鳥が食べて
 くれるって、赤い実の木が考えたわけじゃなくて、
 何億年もかけた命の営みの中で、赤い実と鳥の相互連関が
 出来上がってきたわけでしょ。
 生命の連なりの不思議を思えば、赤い実を食べて赤い鳥に
 なったって歌いたくもなるんじゃない。
 

2010年11月23日火曜日

春を待つ


ー今日やっと春の花の球根を植え込んだよ。
ー何を植えたの?
ー赤いチューリップ、空色と黄色のアイリス、それにアネモネと
 フリージア。
ーなかなか彩りが豊かだわね。
ープランターに土を作り、肥料を混ぜ込んで球根を置いていき
 土をかぶせる。
 今は何もない土だけのプランターだけど、そんな作業をしていると
 そこに色どり豊かな花が咲いているのが想像できるんだ。
 今は何も見えないけど、これから寒さの中で芽を出し、初々しい
 緑の中に花芽を見つけ、そして春の陽光の中で花開く。
 その移ろいを思い浮かべるだけで浮き浮きした楽しい気分に
 なれるんだ。
ーそうよねぇ。今は何も見えなくてもそこに何かが育ってるって
 信じられれば希望が持てるよねぇ。
 今の政治は何も見えないし何かが育ってるって気配も感じられない。
 嫌気がさすのも無理ないよね。

2010年11月14日日曜日

厳戒都市 ヨコハマ


ー13日、14日って横浜都心の警備はすごかったよ。
ー空にはずいぶん高いところを、ヘリが何機も旋回したり
 ホバリングしてたりして、うるさかったわね。
 あれは、突っ込んでくる航空機がないか監視してたのかな。
ーJRの駅では一ヶ月ほど前から警官がホームとか改札とか
 巡回してたけど、横浜駅のお巡りさんは「岐阜県警」の
 ジャケットを着てたね。
ーAPECが始まると、お巡りさんも配置換えされたのか、横浜駅は
 山梨県警と滋賀県警に変わってたわよ。
ー山下公園周辺は愛知県警と秋田県警のテリトリーみたいだった。
 ランドマークプラザは熊本県警の警官が陣取ってたしね。
ー日本全国ほぼすべての県警から動員されてたから、各県警
 テリトリーマップが作れたんじゃないかしら。
ーお巡りさんだけじゃないよ。警察車両だってあらゆるタイプの
 車が日本じゅうから集まって、警察車両見本市って感じ
 だったからね。目抜き通りはあちこちに赤色灯をくるくる
 回した車が配置されて、映画のシーン見てるようだった。
ーAPECの期間一週間だから我慢できるけど、いつもこんなじゃ
 息がつまっちゃうよ。
ー日本全国からこれだけ動員かけて、完璧に役割分担して
 整然と警備するって、ものすごい組織力がないと出来ないことだよ。
ー今まで議論ばかりして生きてきた人たちが、いきなりこれだけの
 組織を動かせるかって、それは無理なんじゃないかしら。
ー官僚の統治能力が確固としたものでないと、いくら政治主導って
 言ったって絵に描いた餅でしかないね。

2010年10月31日日曜日

諸聖人の国


ー今年はハロウィンの仮装行列も台風で散々だったみたいだね。
ー楽しみにしていたのにがっかりの人も多かったみたい。
ーでもハロウィンって、いつの間に日本の年中行事として
 こんなに定着しちゃったんだろ。
 しかも本来の宗教的意味なんかどこ吹く風だから
 眉ひそめる人もいるよね。
ー堅いこと言わなくてもいいんじゃない。
 本場でも宗教的にどうのこうのって言うより、お祭りの
 ノリなんだから。クリスマスにしたってバレンタインに
 したって暮らしに彩りを加えるアクセントだって考えれば
 いいのよ。
ー考えてみれば、古代日本では仏教は金ぴかの舶来宗教だった
 のに、いつのまにか普段の生活に根付いて土着の宗教みたいに
 なってる。一方で古来の神道もそのままに信じられてきてる。
 その後もいろんな宗教の神さまが入ってきたけど、政治的に
 弾圧されたのを別にすれば大体大らかに受け入れられてきた。
 日本人にとっていろんな神さまはご近所のいろんな隣人と
 一緒なんだよ。いろんな神さまと一緒に暮らしていて
 違和感がない。
 これぞ先進の社会生活モデルと言ってもいいんじゃないかな。
 世界中の人がこんな感覚で暮らしてれば、世の中ずいぶん
 平和になると思うよ。

2010年10月11日月曜日

指揮者の手


ー金井画廊で今開催されている個展に、蔡さんは
 "Conductor"という作品を出品してるわね。
ーいつもジャズプレイヤーを描いた作品は出品しているけれど、
 クラシックの指揮者を描いた作品は初めてじゃないかな。
ー日本でも人気が高い、ポーランドの長老指揮者がモデル
 だって聞いたけど。
ー音に集中している顔の表情と、早いタッチで描かれた体の
 背景から浮かび上がった指揮棒と手が印象的だね。
ー特に指のダイナミックな動きが生き生き描かれているのが
 魅力的じゃない。
ー流麗な動きの一瞬を捉えた指先から、律動感溢れる音が
 次々聞こえてきそうだね。
 楽興の時がこの一枚に見事に表現されていると思うよ。

2010年9月26日日曜日

蔡國華展@金井画廊ご案内


毎年秋恒例、京橋・金井画廊で蔡國華展が今年も開かれます。

 * 2010年10月6日(水)〜 16日(土)
   11:00 〜 19:00 (会期中無休、最終日17時まで)

 * 金井画廊(3F)、ドゥ画廊 (1F) 同時開催
   東京都中央区京橋2-6-8 仲通りビル 
   電話 03-5250-0860

今年5月に取材で訪れたモロッコの風景や人物を中心に、
<いのち>をテーマに追究した作品が並びます。
穏やかな秋の日、作品をご覧になって是非<いのち>の
暖かさに包まれたひと時をお過ごしください。

  <地図>

大きな地図で見る

2010年9月20日月曜日

秋日和


ー今年は秋がくるんだろうか、って心配になるほど暑い日が続いたけど
 やっと秋めいてきたね。
ー一日大雨が降って、空気がちょっとだけ入れ替わった気がするけど
 今年は秋雨前線が登場して、北の高気圧が秋の冷気を運んでくる
 って感じじゃないわね。夏の高気圧が少しずつ、少しずつ弱まって
 引き潮のように、暑さが行ったり来たりしながら、徐々に後退してる
 感じだね。まだ夏って気分を残してるよ。
ーでも空にはうろこ雲が浮かぶ日もあるし、風向きも変わったし
 やっぱり秋は秋だよ。
 そういえば今年はサンマが不漁で高値になるって出てたけど
 どうなのかな?
ースーパーじゃサンマ一匹99円で売ってたわよ。
 実際にはそれほどでもないんじゃないかな。
ーサンマ食べるの面倒だから、みんなあまり手を出さなくなった
 って側面もあるかもしれないね。
ーただもうお彼岸なのに、彼岸花の花芽はまだ出てこないわよ。
 自然のサイクルに少しずつ狂いが生じているのは確かじゃ
 ないかしら。

2010年9月5日日曜日

展覧会のご案内


蔡さんを含む、在日中国人作家4人の展覧会が
長野県東御市の梅野記念絵画館で開かれています。

視点ー在日中国人作家4人展
 9月4日(土)〜 10月24日(日)

蔡さんの作品では「旅人」シリーズや「何来何去」の一部など
蔡さんの本領が最も発揮された作品が展示されています。

こちらの美術館は明神池のほとりの緑の中に建っており
ロビーから眺める浅間連峰の風景はまさに絶景です。

まだまだ秋とはいいかねる暑い日が続きますが、
少し足を伸ばされて、爽やかな空気の中、ARTと自然の
コラボレーションを是非お楽しみください。

2010年8月22日日曜日

亀の甲


ーウチに今年104歳になるばあさんがいるんだけどさ。
ー知らないうちにどこかへ出て行ったって話じゃないでしょうね。
ーいやいや、98歳の時に京都からこちらへ移り住んだんだ。
 それまで京都を離れたことなかったんだけどね。
ーそんな歳とってから初めてのところに来て大丈夫だったの?
ー元気、元気、京都に比べてこっちは田舎やなぁ、とか言ってる。
 図太いばあさんだよ。
ー亀の甲より年の功、っていうからお年寄りならではの知恵が
 あるんじゃないの。
ーいや、知恵なんてほとんどない。わがままなだけ。言いたいこと
 言って、食べたいもの食べてる。
ーすごいおばあさんじゃない。
ーでも思うんだけど、老人に別に年の功なんていらないんだよ。
 亀の甲だけで充分。
ーって言うと?
ー亀の甲って何の役にも立たないけど、それ見てるだけで
 何か生命の不思議さ、おもしろさを感じるじゃないか。
 役に立つか、立たないかだけで判断される世の中なんてつまらない。
 ウチのばあさん見てると、生きてるってそれだけのことが面白い
 って感じられるもん。そしてその生命を自分が受け継いでいる
 ってことの不思議。それって「生きる」っていう上で一番
 大事な根本の感覚だと思うよ。

2010年8月15日日曜日

あったはずの未来


ー先日、靖国神社にお参りしてついでに遊就館も見てきたよ。
ー遊就館って明治以降、日本が行ってきた戦争にまつわる資料が
 展示されているところでしょう。戦争を批判する立場の人たち
 からは評判の悪い施設よね。
ー確かに時々の戦争で華々しい戦果をあげた将兵たちの武勇伝が
 大々的に語られているし、武器も爆撃機、人間魚雷から銃弾に
 いたるまで一杯展示してある。過去の日本軍がいかに勇敢
 だったか、そこにがすごく強調されて展示されてるからね。
ー何が一番印象的だったの?
ー太平洋戦争のところまでは、戦争を美化するような内容も
 あって違和感を感じる部分もあったけど、太平洋戦争の
 ところでは兵士が実際に使っていた飯ごうやヘルメット
 そういう身近な遺品が展示してあって、戦場での毎日を
 想像すると胸つまるものがあった。
ー生きるか死ぬかの戦場でも、生き続けるための日常は
 しのいでいくしかないんだものね。
ーそれからやはりいろんな人の遺書、特に特攻隊員の遺書
 を読んでると、こみあげてくるものを感じるよ。
 でもなんといっても圧巻はこの戦争で亡くなった、
 何千(何万?)という人たちの小さな顔写真がパネルにはって
 展示されてあるんだ。もうあまり多くの数の小さな写真だから
 何も見ず通過してしまいそうになるけど、でもよく見てみると
 ほとんどがまだいたいけないといってもいいくらいの若者で
 みんなそれぞれ、まじめくさったり、はにかんだり、もう様々
 だけどとってもいい顔をしてるんだよ。
 恋人と語らったり、家族団らんでくつろいだり、ひとりひとり
 にその人だけに用意された未来があったはずなのに、そんな
 何万もの未来を一網打尽に奪ってしまった…
 あったはずの未来に対して、ぼくらは写真の顔ひとりひとりに
 「ごめんなさい」って頭を下げて回らないといけないんじゃ
 ないのかな。

2010年7月19日月曜日

公用語は世界語


ーユニクロや、楽天が社内の公用語を英語にするって話題だわね。
ーここでいう英語はアメリカやイギリスの人たちが使う
 母国語としての英語じゃなく、実は「世界語」とでもいうべき
 違う言葉だって考えたほうがいいんじゃないかな。
ーっていうと?
ーぼくは中国系の企業で働いているけど、中国語で
 コミュニケーションとれなければ、英語を使って
 コミュニケーションをとる。
 でもぼくが英語の教育を受けたのは日本国内だし
 相手の中国人も英語の教育は中国国内で受けたという
 人が多い。
 どちらも英語ネイティブじゃない環境で、それぞれ独自の
 教育システムのもとで学んだ英語でもって、出会って
 すぐにそんな困難を感ぜずにコミュニケーションできるんだから
 よくよく考えればこれはすごいことだよ。
 でもその場で使っていることばは、ネイティブの英語学者からすれば
 多分とんでもないしろもので、発音だって文法だって、ひょっと
 したらネイティブの人はわからないかもしれない。
 そういうことばを使って、両方ネイティブじゃない人が、
 コミュニケートできるんだから、これは英語とはちがうことばだと
 考えたほうがわかりやすいと思うんだよ。
ーつまりそんなにちゃんとした英語じゃなく、ブロークンでいい
 ということ?
ーブロークンっていうと片方に正統英語があることになるから
 ベース英語だけど、英語とはちがうことばと考えるんだ。
 発音だってアジアの人が出しやすい音でいいし、文法だって
 時制とかはそれほどに気にしなくていい。
 そんな高級じゃない新聞でふつうに出てくるぐらいの単語で
 ともかく意思を通じ合わせるのに特化したことばっていうかな。
ーそうすると日本語とかはどうなるのかな?
ー共通語に対するそれぞれの土地の地域語のように、人間として
 奥深いことを考えたり表現したりは、やっぱり母国語、ばくらは
 日本語を使うんだと思う。
 でもビジネスは、売る人買う人、両方世界が相手なんだから
 世界語を使う。
 共通語が普及したことで日本が市場として統一された、それと
 同じことだよ。

2010年7月11日日曜日

ろうそく一丁献じられましょう


ー京都に暮らした人間にとって、今は心浮き立つ時期だよ。
ーもうじき祇園祭ですもんね。
ーもうじきってもう始まってるよ。一般には17日の山鉾巡行が
 有名だけど、7月1ヶ月かけて、祇園社の神様を町中に
 お迎えして、災厄封じするためのお祭りだからね。
ーじゃ山鉾巡行以外のときは何をするの。
ー細かなこと言い出すときりないけど、ちょうど今頃鉾建てが
 始まって街が祭りの舞台に一変し、宵々山から宵山と
 お囃子が街中響き渡って、もう雰囲気も人出もピークだね。
ーやっぱり豪華絢爛な山鉾は見事だし魅力あるよね。
ーそれもあるけどすごいのはこのお祭りが平安時代から
 応仁の乱(!)の中断をはさんで一千年以上続いているって
 ことだよ。それにもっとすごいのはこれだけのお祭りが
 基本的に「民」、町衆の力だけで支えられてきたんだよ。
ー朝廷とか幕府とか、「公」権力からは自立していたのね。
ー京都の街中の各町内が、自分たちコミュニティーの
 シンボルとして鉾、山を作り、趣向をこらし、各町内
 競うようにしてもり立ててきた。
ーその伝統が一千年以上受け継がれてるってことよね。
 すごいことだわね。
ー宵々山、宵山には各町内のこども達が道行く人に
 「ろうそく一丁献じられましょう」って、わらべ歌を
 唄ってろうそくを売るんだけどね。考えてみれば
 これだけ長いあいだ、町衆一人一人が自分たちで
 献じられる精一杯のろうそくを、自分たちの
 コミュニティーに献じてきたから、これだけの
 お祭りが残ったんだと思うな。

ろうそくを売るこども達のわらべ歌です。

2010年7月4日日曜日

忘れさせたもの勝ち


ー参議院選挙、もう来週なのになんだか静かだわね。
ー今まで、ワールドカップで盛り上がっちゃって、選挙って
 気分じゃなかったからね。民主党が7月11日選挙にこだわったのは
 ワールドカップを隠れ蓑にして、ヤバいことが争点化するのを
 避けるためだって説もあるよ。
ーワールドカップは戦前は全く期待されてなかったから、そんな
 ことはないでしょうけど。でもヤバいことって?
ー政治とカネとか、普天間とか、日本がひっくりかえるほど大騒ぎ
 していたのに、今じゃ誰も口に出さないもんね。
ー小鳩がいなくなったらガラガラポンしちゃった感じよね。
 今じゃTVでもみんな消費税のことばかり。
ー民主党が消費税を持ち出したのはリスクだけど、でも管さんが
 言っているのは、参院選後超党派で税制の議論をはじめ
 次の総選挙でその結果の是非を問おうということだろ。
 今までみたいに民主党政権の4年間は消費税には手をつけません、
 って言ってたんじゃ間に合わない程財政は逼迫しているから
 これから議論をするってことを今はっきりいわないと、それこそ
 国民をだますことになるからね。
ーマスコミも民主党が言い出す前は、マニフェストに教条主義的に
 こだわるのはよくない、消費税の論議を始めるべきっだって
 大体の論調だったのに、そのとおり民主党が言い出すと、唐突だ
 とか言ってそしるんだから、ちょっとおかしいわよね。
ー消費税の議論を始めるってのはある意味あたり前で論点にならない
 ことのはずなのにそれが前面にでちゃって、本来すごく大きな
 争点になるはずのものがかすんでるのが問題なんだよ。
ーさっきの政治とカネ、とか普天間とか?
ーそれもそうだけど、去年の総選挙の民主党マニフェスト
 実行状況をもっとちゃんと点検して評価しないと
 いけないじゃないか。
 例えば、初年度7.1兆円出てくるはずだった財源はどうして見込み
 違いになったのか、何が正しく何が間違っていたのか、その結果
 どこをどう修正するか、そんなことを詰めて議論しないと
 マニフェストって言ったって言い放しの、言ったもん勝ちになるよ。
ー過去のことは忘れさせたもの勝ちってことね。

2010年6月27日日曜日

生きる糧


ー永井画廊の蔡さんの個展が終わったわね。
ー終わっちゃうと淋しいね。
ー展示されていた作品に「糧」という作品があったじゃない。
 革表紙でいかにも重々しくて、西洋の昔のお屋敷の壁を
 占めていたような古書が何冊か積まれている作品。
 あれを見て「糧」ってなんだろうかって考えちゃった。
ー本に書かれた情報が「糧」になるかっていうと、そんな
 ことはないよね。「糧」っていうのは「生きる糧」って
 意味だろうから。
ーじゃ、何が生きる糧になるのかしらね。
ーみんな自分が生きている意味を知りたいじゃないか。
 一体自分は何で生きてるんだろうってね。
 そのことを考え、考え、探しに探しているときに、
 別の人がやっぱりそのことを、もっともっと深く鋭く
 考えているのに出会うと、自分の中の何かの成分が化学反応を
 起こして「生きる糧」になるんじゃないかな。
ー本が「糧」なんじゃなくて、それを書いた人が生きる意味を
 考えに考えてくれたこと、それが「糧」ってことだよね。
 考えに考えた足跡のエッセンスが糧になるってことよね。
ーそう、だから考えに考えられた足跡だったら何だって糧になる。
ー蔡さんの絵も。
ー「何来何去」なんて、何年にも渡って、考えに考えられている
 足跡そのものの作品だからね。「自分はどこからやってきたんだ?
 自分は何者でどこに行こうとしているのか?」そのテーマの中に
 生命の誕生以来途切れることなく自分にまで続いてきたいのちの
 流れの不思議、同じ時代を生きる70億人の同朋のひとりとして
 自分が存在することの意味を問い続けようという決意が
 表れているじゃないか。
ーこういう言い方すると不謹慎かもしれないけど、蔡さんの
 命尽きるまで「何来何去」は描き続けてほしいわね。

2010年6月13日日曜日

ベルベルの男


永井画廊の蔡さんの展覧会に「ベルベルの男」という
 彫りの深い表情が印象的な男のドローイングが出てたけど
 「ベルベル」って何なのかしらね?
ベルベル人って、モロッコにアラブ人が入ってくる前から
 住み着いていた民族らしくて、今ではモロッコの山間部に住んでる
 人が多いそうだよ。「ベルベル」というのはギリシア語の
 「バルバロイ」に由来するらしい。
ー訳のわからないことばをしゃべる人たちという意味の
 「バルバロイ」ね。でもどうして蔡さんの絵に登場するの?
ー蔡さんはこの5月にモロッコにスケッチツアーに出かけていて
 そこで出会った人たちなんだそうだ。
ー確かに深く皺がきざまれた意志的な表情は人をひきつけて
 離さない魅力があるわね。
ーベルベルの人は過酷な自然環境の中、ヨーロッパとアラブが
 入り乱れて興亡を繰り返した地で、相対的な弱者として
 忍従と屈服の歴史を強いられてきたそうなんだ。
 そうした民族の苦悩の歴史がその皺に刻み込まれているとすれば
 その表情を描きとることは、蔡さんが追求する「何来何去」に
 相応しいテーマだよね。
 

2010年6月6日日曜日

システム党VS個人党


ー鳩山さんの最後もあっけなかったね。
ーあっけなさでいえば細川さんの最後とイメージがだぶるね。
 首相在任期間もこの2人はほとんど同じじゃないか。
ー重なるといえばもう一つ、両方の辞任劇ともに小沢さんが
 深く絡んでるってのも同じだね。
ー細川さんのときは、官房長官だった武村正義さんと与党幹事長
 小沢さんの対立が抗争といえるほど激化して政権運営がにっちも
 さっちもいかなくなり、そこに自分のスキャンダルも重なって
 もうイヤになって投げ出したって格好だったな。
ー今回、直接の引き金になったのは普天間問題だったけど、鳩山さん
 にとっては小沢プロブレムも度し難いものがあったんだよ。
 はっきりクリーンな民主党に戻ろうと宣言して、小沢さんを
 道連れに辞めさせたんだからな。乾坤一擲の大勝負だったと思うよ。
ー武村さんは目指すべき国家像として「小さくともキラリと光る国」
 という本を書いてるね。思うに旧民主党から来てる人たち、
 鳩山さん、菅さんを筆頭に、前原さん、仙谷さん、野田さん
 枝野さんといった人たちは多かれ少なかれこのDNAを引き継いでいる
 と思うんだよね。
ーというと?
ー武村さんは、これからは「大国」めざすより、その中で暮らす人が
 豊かな気持ちで安心して暮らせる、そんな国を目指すべきだ
 と言ってるんだ。一言でいうと個人ひとりひとりを大事にする
 政治ってことだね。
ー小沢さんはその対立軸にあったってことかな?
ー小沢さんはパワーポリティクスの権化だからね。
 世の中、組織と組織の権力闘争で動いてるんだ。個人はそのための
 マシーンにすぎないと考えてると思うよ。
ー村上春樹言うところの「個人とシステム」の対立だね。
ー今年2月に行われたインタビューで、武村さんは民主党内にある
 その対立軸を「渡来人VS原住民」と言ってるね。
ーいままでは官邸=原住民=個人党、党本部=渡来人=システム党
 だったわけだ。
ーでも思うんだけど2大政党の対立軸が個人党VSシステム党になれば
 ずいぶんすっきりするんじゃないか。この間を行きつ戻りつ発展する
 社会というのは、ある意味望ましい社会なんじゃないかな。

2010年5月30日日曜日

蔡國華展@永井画廊


6月8日から蔡國華展が開催されます!
今回は銀座「永井画廊」での初の個展になります。
画廊主の永井龍之介氏はTV東京「開運!なんでも鑑定団」鑑定士
としておなじみですね。

 * 永井画廊 蔡國華展
   6月8日(火)〜25日(金)[日休]
   11:30 〜 19:00

絵画による大河小説を思わせる「何来何去」の連作、祈る手の姿の
中に究極の人間性を感じさせる「願」のシリーズなど、蔡さんの
本領が最も発揮される人物表現の大作が展示されますので、
機会が許せば永井画廊の展覧会、是非ご覧ください。

(頭の絵は「何来何去」(部分)預言者達、182x273㎝)
 

2010年5月23日日曜日

青もみじ


ー今の季節、若葉が鮮やかで目にしみるね。
ー5月の青空の下で若葉がそよいでいるのは、誰が見たって
 美しいって感じる景色だもの。
ーぼくは特に青もみじが好きだな。風の中で青もみじが波打って
 いると、青嵐ってことばを実感するよ。
ーでもあまりにも生命ではちきれそうな景色を見ていると
 ふっと淋しさを感じない?何か自分だけ取り残されてるみたいで。
ーその感じわかる。自分だけ置いてけぼりをくっているような
 逆に自分だけこの生命の響宴からどこか遠くへ立ち去って
 行きたいような。
 芭蕉が奥の細道に旅立つとき
   行く春や鳥啼き魚の目は泪
 って詠んだのも、そういう感じなんじゃないかな。
ー私にとってその感覚っていうのは陽水の「5月の別れ」かな。
   風の言葉に諭されながら、別れゆくふたりが5月を歩く
 ってなんかすごくわかるよ。でも陽水は希望も残してくれてるんだよ。
   星の降る暗がりでレタスの芽がめばえて
   眠りから醒めながら夢をひとつだけ、あなたに叶えてくれる
 ってね。

2010年5月16日日曜日

Think different


ーiPadがずいぶん話題になってるわね。
ー予約開始の10日に八重洲のソフトバンクショップに行ってみたら
 もうすごい行列なんだ。まだ予約だけだよ。
 それで12日には予定数はすべて予約済み、次回の予定はありません
 って張り紙が出されてて、行列用の柵だけ長々と残ってた。
 いやはやすさまじいね。
ーやっぱりデザインがいいからみんな欲しくなるのかしらね。
ーアップルの製品はまずデザインだってよく言われるけど、それは
 単に見てくれのことじゃないと思うんだよね。
ーでも見た目もすごくカッコいいじゃない。
ーそうだけど、Macとかを実際に使ってみるともっとスゴい!って
 きっと思うよ。
ーどんなふうにすごいの?
ー機能的に驚くこともあるけど、それよりも感覚的な部分、触ってて
 気持ちいいし、使っててなんだか可愛くなるんだよ。
 おおこんな反応するか!とか、よしよしいい子だぞとか思いながら
 なんかPCと遊んでる気分になるんだ。
ーバカバカしい、機械でしょ!生き物じゃないんだから。
ーいや、でも本当にペットと戯れてるって気分になってくるんだ。
 これはWindowsマシンじゃありえないことだね。
ーどうしてそんな感覚になるのかしら?
ーアップルといえばスティーブ・ジョブズじゃないか。
 フツーの企業家やPC開発者はいかにローコストで高い処理能力を
 備えたPCを作るかってことにエネルギーを集中するよね。
 Windowsという汎用OSをあらゆるメーカーのPCに載せるのは
 効率から考えればベストモデルだと思う。
 でもジョブズは最初からそんなことは微塵も頭になくて、ただ
 自分が使って楽しいマシン、こんなこともしたい、あんなことが
 できたらというマシンを、実際この世に生み出すことに没頭して
 きた人なんだ。それはマシンの見た目、さわり心地、使い勝手、
 機能、すべてにかかわることだからマシンのハード、ソフト、
 すべて自前で作ることにとことんこだわった。コスト二の次でね。
ーMacといえばOSも独自のMacOSだったわね。
ーあまりにその完全主義が行き過ぎて、ジョブズは一度アップルを
 追い出されたけど、世をあげてWindowsになりアップルがつぶれ
 そうになったとき再びアップルに戻ってきた。
ーよくつぶれずに立ち直ったわね。
ーWin95が席巻していたころ、誰もがアップルももはやこれまでと
 思ったけどね。そこに戻ってきたジョブズが投じた最初の一石が
 例の"Think different"キャンペーンCMだったんだ。
ー日本でも「クレイジーな人たちがいる」で始まるCMを流してたわね。
 よく覚えてるわ。
ー印象深いCMだったけど、アップルはお先真っ暗でいよいよ気が
 ふれたかって感もあったね。でも今見てみるとこれはクレイジーな
 ジョブズの信仰告白だよ。オレたちは効率よく仕事をこなそうって
 そんな人のためにコンピュータ作ってんじゃない。何かわからない
 新しいことを夢中で生み出そうとしている、そんな人のための
 コンピュータを作るんだってね。
ーつぶれそうになってるのに、やっぱりクレイジーよね。
ーとってもクレイジーだけど、ジョブズには確信があったんだと思う。
 時代に取り残されてるように見えるオレたちこそ、実は時代の
 最先端を走っているんだってね。
 このあとスケルトンのiMacが出、iPodが出て、そこからアップルの
 快進撃が始まったんだよ。
ージョブズに言わせれば時代がやっとアップルに追いついてきた
 ってことね。
 でも世の中、クレイジーがあたり前になってきちゃったら
 それはそれで困りものだわね。
 

2010年5月9日日曜日

ポーランドと沖縄


ーショパンが生きた時代のポーランドはロシアの属国だったわね。
 王さまがロシア皇帝で。
ーそう、18世紀以降のポーランドは大国ロシアとドイツの狭間で
 何度もつらい目にあってるね。
 18世紀末にはロシアとプロイセン、オーストリアとの間で
 ポーランド分割が行われポーランドという国自体消滅して
 しまったし、ナポレオン戦争でフランス配下に入った後
 ウィーン会議でロシアの属国にされてしまう。
 独立を目指して民族蜂起が起き、ショパンが祖国愛に熱狂した
 のはこの頃だよ。
 ロシア革命後もソヴィエトとの間で戦争が起きているし、ドイツも
 何かにつけ干渉してくる。
 第二次大戦の引き金を引いたのはナチスドイツのポーランド侵攻だし
 ソヴィエト軍も当然攻め込んできて国土が戦場の修羅場になった。
 大戦後はまた長く厳しいソ連の圧政に苦しめられた…
ー両大国に挟まれているからって、あんまりだよね。
ーでもこのポーランドの歴史って沖縄の歴史と二重写しに見えないか?
ーというと?
ー沖縄も江戸時代までは琉球王国って独立国だったじゃないか。
 でもこちらは日本と中国の間で巧みに立ち回って一応の
 平和を保ってきた。
ー日本と中国の間に入った貿易で大きな富を築いたって聞いたことが
 あるわ。
ーポーランドと違って海で隔てられてるから、日本からも中国からも
 攻め込まれることはなかったんだね。逆に琉球がそこにあることが
 日本にとっても中国にとっても利用価値がすごく大きかったんだ。
 でも明治政府になって、圧倒的な力の差で日本に組み入れられて
 しまう。
ー中国は何も動かなかったの?
ー当時の清にはもうそんな国力はなかったんだ。
 日本に組み入れられた後の沖縄は開発から取り残され
 本土から見るとずいぶん貧しい生活だったらしい。
 それが第二次大戦では日本を守るため、唯一地上戦の戦場に
 なってしまった。
ー沖縄の人が差別されてるって感じるのは、そこら辺にも原因が
 あるわね。
ー自分たちの島なのに、自分たちの思いと関係なく大国の思惑に
 翻弄される歴史があり現実がある。それが許せないんだよ。
 
 

2010年5月5日水曜日

熱狂の日


ー連休中の恒例イベントだけど、今年も東京国際フォーラムをメインに
 「熱狂の日」音楽祭をやってたね。
 ふらっと立ち寄れて、お値段も雰囲気もカジュアルなコンサートが
 多くて、ずいぶん人気みたいじゃないか。
ー人気がありすぎて、もうふらっと立ち寄るってわけにはいかなく
 なってるわよ。今年は前売りでチケット完売ってコンサートが
 多かったもの。
ー生誕200年で、今年のテーマ作曲家はショパンだったろ。
 ショパンに「熱狂」ってことばはあんまり相応しくない気が
 するね。
ー同時代のリストには「熱狂」はぴったりだけど、ショパンは
 「親密」とか「繊細」とかのことばが似合いそうね。
ーこの時期、丸ビルで「ショパン展」をやっていて、死後すぐに型取り
 されたという「左手」やマズルカの自筆譜などが展示されてたけど
 指もどきどきするくらい繊細だし、音符もそこに書かれてるのは
 ショパンの脈動だと感じられるくらい官能的だよ。
ーショパンと言えばジョルジュ・サンドとの情熱的な恋が有名だけど
 生涯かけて愛したのはきっと祖国ポーランドだったんでしょうね。
 ロシアからの独立を支持する危険思想の持ち主として、
 祖国ポーランドへ帰ることを熱望しながらかなえられず
 死後遺言でその心臓だけがやっとポーランドに帰れたんですものね。
 彼は望郷の思いを、マズルカやポロネーズの作曲に託し続けたのよ。
ーショパンのポーランドへの熱い思いこそ「熱狂の日」に
 相応しいってわけだね。

2010年4月30日金曜日

十一人の怒れる市民


ー小沢氏に検察審査会が「起訴相当」の議決を出したね。
ーJR西の事故もそうだし、最近検察審査会がにわかに脚光を
 浴びてるわね。
ー今回は審査員11人全員一致の議決だからね、重い議決だよ。
ー「市民目線からは許し難い」って、ずいぶん突っ込んだこと
 言ってるね。
ーそれで思い出したけど、昔「十二人の怒れる男」って
 アメリカ映画があって、陪審員誰も有罪だと思っているのに
 たったひとりの陪審員が無罪を主張し、手に汗握る議論が
 繰り広げられた末、結局無罪って結論になるんだけどね。
ーずいぶん話が飛んじゃったわね。
ーいや、今回たまたまこの審査会のメンバーに選ばれてしまった
 人がどう感じ、審査会の中でどんな議論が繰り広げられたか
 あれこれ考えてしまったんだ。
ーフツーの人は審査員に選任されただけでげんなりするんじゃない。
 しかもこんなやっかいな案件担当になっちゃったら
 身の不幸を嘆くでしょうね。
ーそりゃ小沢さんの事件を許し難いと思う人もいたろうけど
 どうでもいいと思う人もいたろうし、事件とは関係ないと
 考える人もいたと思うんだよね。
ー確かに11人もいればそうでしょうね。
ー最初は自分の仕事に乗り気じゃなかったかもしれないけど
 自分たちでいろいろ調べるこれは大変だってことに
 なったんじゃないかな。それこそ映画のように白熱の
 議論が繰り広げられ、結果として全員一致の議決になった
 んだと思う。どんな議論が繰り広げられたか、これも
 映画にしてほしいくらいだね。
ー民主党議員の中には、この議決はマスコミ論調にミスリード
 されたものって言い募ってる人もいるみたいね。
ー11人全員一致というのは、みんなよほどいい加減だったか
 よほど真剣に渡り合ったか、どちらかしかありえないよ。
 ことの重大性を考えれば、たまたま審査員に選ばれた人たちは
 結果として自分の全人格をかけてことに当たったと思う。
 この審査員の人たちの真剣さ、覚悟のかけらでもそんなことを
 言っている民主党議員にあれば、まだ救われるんだけどね。

2010年4月18日日曜日

言霊の幸ふ国


ーさすが鳩山さんは「言霊の幸ふ国」の首相だけのことはあるよ。
ー何だよ、言ってることがわかんないよ。
ー普天間移設5月末までに決着、決着って言い続けてるじゃないか。
 私には腹案があるって。
ーもう今となっては無理とみんな思ってるよな。
ーオレもあれだけ言い続けているから、何かあっと驚く策があるに
 違いないと思ってたんだ。
 で、最近鳩山さんのあっと驚く策はこれだ!ってわかったんだ。
ー何だよ。
ー「言霊」だよ「言霊」。日本は「言霊の幸ふ国」じゃないか。
 何の裏付けがなくても「実現します、実現します。」って
 言い続けていれば実現するんだよ。
ーあほらし、おまえマジで言ってるの?
ーいや、そりゃオレだってあほらしと思うよ。
 でも鳩山さん自身はマジそう考えてるとしか思えないよ。
 中身がないのに覚悟をもって臨んでいます、信じてください
 って言い続けてるんだから。
ー「言霊」も安売りされたもんだな。

2010年4月11日日曜日

御室の桜


ー小さい頃仁和寺の側に住んでいた。
ー仁和寺ってあの世界遺産の?
ー今じゃすっかり有名になったけど、あの頃は人もあんまり
 来なくて、のどかなお寺だった。
 セミ採りやらかくれんぼうやら格好の遊び場所で
 毎日のように行ってたよ。
ー随分ぜいたくな遊び場所だわね。
ーそんな立派なお寺だとはこれっぽっちも思わなかったし
 出入り自由だったからね。
 でも一年のうち桜の季節だけは入苑料取られるから
 あまり行かなかったなぁ。
ー「御室の桜」ね、JR東海のCMでやってるよね。
ーその時だけは大勢人がきて、緋毛氈の床几が出たりゴザ敷いたり
 してお花見するんだけど、背が低くて八重の桜だから
 桜の雲の中で花と戯れてるって感じになるね。
ー雅でにぎやかそうだわね。
ーその中でも特に楽しそうな人たちがいて、忘れられないんだけど
 チマチョゴリで着飾った人たちなんだ。
ーへぇ、朝鮮の人たちも一緒にお花見してたの?
ーゴザの上で男性は唄って女性が舞ってたりするんだけど、
 チマチョゴリのスカートって裾広がりで色鮮やかにくるくる
 回っていると桜と呼応し合ってすごくきれいなんだ。
ーそうでしょうね、光景が目に浮かぶわ。
ーきれいだなぁ、と思って眺めてるんだけど、でも一方でこの人たちは
 一体どこから来たんだろうって不思議で仕方がなかった。
ーというと?
ーもちろん小学生でも朝鮮の人だというのはわかるんだけど、こんなに
 たくさんの人が旅行で来てるわけでもなさそうだし、自分の心の
 中では文字通り忽然と出現した人たちがにぎやかに花見を
 楽しんでるって感じたんだ。
ーふう〜ん。
ーもう少し大きくなって、この人たちは日本社会の中で普段は
 日本人として生活している朝鮮出自の人たちなんだって
 わかったけどね。それだけに年一回花見というハレの日は
 民族のアイデンティティーを心から楽しむ日だったんだろうと
 合点がいった。御室の桜はそれに相応しい舞台だったんだろうね。
 

2010年3月28日日曜日

菜摘ます兒


ーこの季節になると万葉集巻頭の歌を思い出すよ。
ーはぁっ?
ー万葉集の授業でやらなかった?天下の万葉集のトップにある
 歌だから結構みんな習ってるよ。
ーそんなのやったとしても覚えてないわ。
ー「こもよみこもち」で始まる雄略天皇の歌。
ー雄略天皇ってヤマト王権の日本統一に傑出して力のあったと
 されている王さまね。
ーそう高校で初めて万葉集習って、その最初にあるすごい天皇の
 歌だからどんな素晴らしい歌だろうってちょっと期待してたん
 だけどね。
ーどんな内容なんだっけ?
ーそれが一言でいうとナンパの歌なんだよ。先生は麗しく解説
 してくれたけど、高校生のぼくはなんだ、これはただのナンパだよ
 って思ったし今もそう思うね。
ーう、そうなの?
ー春の野で若菜を摘んでいるそこのきれいなお嬢さん、
 なんて名前?どこに住んでるの?オレはすごいんだよ、
 ここを治めてるんだから、だから教えてよ、後で通っていくから
 って相当露骨じゃないか!
ーううぅ、本当にそういう歌なの?
ー高校生のぼくもショックだったよ。日本文化の精髄と言われている
 万葉集の最初の歌だからね。もっといろいろ隠された意味が
 あるんじゃないかと考えたよ。
 でも実にあっけらかんとオレの彼女になれよ、って言ってるだけの
 歌なんだ。
ーでもそこまであっけらかんとしていると逆に潔いかもね。
ーそう、春の浮き立つ気分がよく出てるし、若かった日本のエネルギー
 も感じるよね。
ーそう考えると万葉集の冒頭に相応しいじゃない。
ー習ったときはぼくも違和感があったけど、今ではナンパの歌が
 冒頭にある万葉集も、それを精髄としている日本文化も実に
 素晴らしいと思うよ。これを知ったら日本文化にあこがれる人が
 世界中でもっともっと増えると思うな。

2010年3月22日月曜日

蔡國華展のご案内


現在、蔡國華新作ドローイング展開催中です。

 * ギャラリー・しらみず美術
   東京都中央区銀座5−3−12 壹番館ビル4F
   ☎ 03-3575-0013

 * 3月18日(木)〜3月27日(土)
   12:00〜18:30 日曜、祝日休廊 最終日17:00まで

バレリーナやダンサーをモデルに、動の中の一瞬の静を描き取った
魅惑的なドローイングが並んでいます。
また今回はスカーフやマグカップ、ペーパーウエイトなどおしゃれな
オリジナルグッズもあわせて販売されています。
この方面に出向かれることがございましたら、是非お立ち寄り
ください。  

2010年3月14日日曜日

パルス


長谷川等伯展行きました!40分待ってやっと入れたよ。
ーそれなら運がいい方じゃない。60分待ち、70分待ちなんて
 ザラみたいよ。
ー入ってからもすごいよ。展示ケースの前に人垣が二重、三重に
 なってるから、人波に揉まれるか遠巻きにして下の方を見るのを
 断念するか決断しないといけない。ただ閉館30分前になると
 人は大分減るから、じっくり見るにはこの時間帯がお勧めだね。
ーそれで、作品はどうだったの?
ー等伯の後期の作品ってすごく臨場感があるんだ。単に迫真の
 写実っていうんじゃなくて、自分がその場にいてその状況を実際に
 体験している感覚になるんだ。ちょっと3D映画と似た感じかな。
ーどうしてそんな感じになるのかしらね?
ーそう、どうしてそんな感じになるのか考えながら見ていたんだけど、
 例えば「萩芒図屏風」って作品がある。
 萩とすすきがそれぞれ秋風の中でそよいでいる、それだけの作品
 だけど、でも同じ風に吹かれても自然の中では萩もすすきも
 一本一本皆そよぎ方が違うじゃないか。あるものは激しく
 そよいでいるし別のは穏やかに揺れているし、中には他と違う
 方向にそよいでいるのもいる。それでも叢として眺めるとやっぱり
 同じ風にそよいでいるのがわかるだろ。
 等伯は画面の中でそれをやっているんだよ。
ーつまり?
ー等伯の萩もすすきもどれ一本として同じそよぎ方をしていない。
 それぞれ微妙に違った揺らぎ方をしてるんだけど、でも全体と
 してみるとそこに吹く風が直感的に感じられるんだよ。
ーそれって究極の描写力じゃないの?
ー自然というのはひとつひとつが皆別々の個性を持って
 バラバラのようでいながら、全体として大きなハーモニーを
 保っている、それが一番すごいとこじゃないか。
 その自然の息吹、生命の拍動とじぶんの命の拍動が交感
 しあっているっていう研ぎすまされた感覚がないと
 あんな絵は描けないと思う。技術の問題じゃないんだよ。
 
「松林図」についてはかつて拙文に書きましたが、今回展覧会を観て
等伯は歳を重ねるほど過激にアヴァンギャルドになっていくのに
改めて驚きました。

2010年3月7日日曜日

春の最初の太陽


ー春の最初の月とくれば、次は春の最初の太陽ね。
ー春の最初の太陽って?
ーお針子ミミが「屋根と空しか見えない小さな部屋で私は一人ぼっち。
 でも春の最初の太陽は私のもの。」って唄うの。
 屋根裏部屋に住むミミが階下の貧乏詩人ロドルフォにロウソクの火を
 借りに来て恋に落ちる場面よ。
 プッチーニのオペラ「ボエーム」って知ってる?
ーああ、知ってる。若くって意気軒昂で、でも素っからかんの
 ボエヘミアン達が繰り広げる青春絵巻だね。
ーミミとロドルフォはとってもピュアに愛し合っているだけに
 ミミの病気を直す金のないロドルフォはミミから離れようとする。
 ミミはミミでそういうロドルフォの心情を知って、彼を傷つけまいと
 自分から別れを告げる。
 最後やっと二人は再会を果たすんだけど、それはもう彼女の死の床
 だったってお話ね。
ーボヘミアン達の屈託のない青春絵巻が、いよいよミミの哀れさを
 際立たせて涙を絞らせる筋立てになってるね。
ー一般にそう思われてるけど私はちょっと違うな。このお話は
 「春の最初の太陽」が全編の通奏低音になってると思う。
 ミミの淋しさに凍てついた心を溶かしたのは、ロドルフォを
 始めボヘミアン達の純粋に仲間を思いやる心根だったのよ。
 貧しくて貧しくて金で仲間を幸せにできなくても、みんな
 自分の持っているなけなしのもので、仲間にいい思いをさせて
 やりたいと必死じゃない。
 そんな仲間の思いに包まれてミミは幸せを感じながら死んでいった
 と思うし、ハッピーエンドのお話なのよ。
ーなるほどね。春の最初の太陽が必要なのは青春だけじゃないな。

余談:3月、びわ湖ホール神奈川県民ホール共同プロデュースの
   「ボエーム」公演があります。
   指揮 沼尻竜典、演出 アンドレアス・ホモキ
   たまたまどちらのホールも水辺にあるのですが、その布陣から
   春の太陽にきらめく水面を感じさせる舞台になりそうです。
   別にホールの回し者ではありませんがオススメです。

2010年2月28日日曜日

春の最初の月


ー今日はまんまるお月さんだったわね。
ー今日は元宵節だよ。
ーああ、旧暦1月15日、春節後最初の満月の日ね。
ー春の最初の月が満ちて、冬の祭典が終わるってわけだ。
ースポーツの世界的な大会はいくつもあるけど、祭典って言えるのは
 やっぱりオリンピックだけだよね。
 生活のゴタゴタには切れ目がないけど、いっときそのことは横に
 置いておいて、選手が繰り広げるドラマに自分も入り込んで
 熱くなっちゃうんだから。
 オリンピックの中にみんな自分のドラマを重ねあわせるんだよ。
 しかも世界中の人が同時にだよ。考えてみればすごいことじゃない。
ー祭典が終わればまた何もない日常だけど、欠ける日があれば
 満ちる日が必ず還ってくるってことを確信できることがすごく
 大事じゃないかな。春の最初の月はそれを教えてるんだよ。
 

2010年2月21日日曜日

カーリング


ーオリンピック見ててカーリングにはまっちゃったよ。
 あれは面白い!
ー昨日のイギリス戦なんか、逆転、逆転、また逆転で
 手に汗握ったわよね。
ーそもそもカーリングってスローだし、ルールよくわかんないし
 何のため氷掃いてるのかも??だし、試合長いし、辛気くさくて
 見てられないってスポーツ(そもそもスポーツ?、何で五輪に
 いるの?)だったけど、今度初めて(大体)解って見ると
 すごく面白いね。止めるに止められず、結局最後まで
 見てしまったよ。
ー選手の表情も美しいよ。それにあのストーンがささやくみたいに
 回転しながら氷上を滑っていくのもどこか宇宙的で美しいと
 思わない?
ーそのストーンを掃いて!進路を変えるのも、超アナログで
 麗しいじゃないか。
ー掃いたぐらいであの重いストーンをコントロールできるのかと
 思うけど、緩やかにストーンがコースを変えていって
 欲しいところにピタッと停まると惚れ惚れするわね。
ーそれでオセロゲームのように、敵味方形勢一挙に逆転するんだから
 熱くなるよ。
ー自分でもやってみたい気がするけど、あれは施設も装備も
 大変だろうね。
ーいつも五輪では注目を集めるけど、結局その時だけって
 感じだからね。気軽に体験できればやってみたい人は一杯
 いると思うよ。
 

2010年2月7日日曜日

デジャヴ


ー小沢氏不起訴で一件落着って民主党は思ってるのかね?
ー小沢さんと距離を置いてる議員はこのままではまずいと思ってるよ。
ーまずいなんてもんじゃないよ、これじゃ自民党と同じじゃないか。
 疑惑の真相解明を迫られても自分たちはのらりくらりとかわし
 検察の捜査の結果でみそぎは済んだってことにするのは
 自民党政権で散々見て来た光景じゃないか。
ー近くでは日歯連の一億円ヤミ献金事件を思い出すね。
 状況からすれば橋本元総理は限りなくクロだったけど
 罪を問われたのは村岡元官房長官ってウソみたいな話だった。
 この結果に納得した人は誰もいなかったと思うけど
 自民党はうやむやのうちに押し通しちまったからね。
ーオレたちが民主党に期待したのは、こういう汚い話が闇から闇へ
 処理されるなんてことはもう金輪際なくなる、ってことも
 大きかったハズだよ。
 説明責任はしっかり果たします、何でも透明にしますって
 彼ら口を極めて言ってたんだから。
ー素人が見ても小沢さんのカネの流れは奇怪だし、説明も奇怪だよ。
 説明できないことがあるとしか思えないけど、このまま
 うやむやにするんじゃ自民党と何にも変わらんよなぁ。
ー自民党のときは民主党って代わりの駒があったけど、もう代わりの
 駒はないんだよ。民主党議員は一人一人これでいいのかって
 自分に問うて、肚をすえて行動してもらわないと、オレたちの
 明日は誰にも託せないってことになっちゃうじゃないか。

2010年1月24日日曜日

素人の目


ーなんかうんざりだね、小沢さんの問題は。
ーめいっちゃうよな。
ー検察の捜査もマスコミ報道も虚偽記載の4億円の中に
 ゼネコンのお金が入ってたかどうかが焦点になってるけど
 仮に小沢さんの話を全部信じたとしても、やっぱり腑に落ちない
 部分が残るよね。
ーそうだよ、素人の常識からするとありえない、って思うところが
 いろいろあるよ。
ー最大のクエスチョンは何で政治団体が土地を買うのかってとこだよ。
 しかも陸山会は問題の深沢の土地以外にいろいろ不動産を
 持ってるそうじゃないか。
ー深沢の土地は秘書の宿舎を建てるつもりだったと説明されてるね。
 封建制じゃあるまいし、何億もかけてわざわざ秘書を囲い込む
 宿舎を作るって感覚はちょっと異常だよ。
 しかも個人で作るならまだしも、政党助成金だってもらってる
 政治団体として作るっていうんだから、オイオイ違うだろ!って
 言いたくなるよね。
ー結局この土地はあんまり活用されてないみたいだし、フツーの人が
 この説明は真実ではないって感じるのも当たり前だよ。
 こんな子どもだましの説明になるのは、実はこの土地は目的が
 あって買ったんじゃなくて、買うという行為そのものが
 目的だったんだって思われても仕方ないんじゃないか。
ー小沢さんの政治改革にかける思いは本当だったと思うけど
 崇高な目的のために使うカネは白いカネでも黒いカネでも
 いいカネだと思っているフシがあるよな。
ー国民のキズは深いよ。オレたちの政治に明日はないって気分が
 蔓延しちゃってるじゃないか。

2010年1月11日月曜日

持続する力


ー「持続する力」ってはやりの本のタイトルみたいだけど?
ー今朝のサントリーの新聞広告見た?
ーああ、伊集院静さんの「20歳の君に送るメッセージ」広告でしょ。
 毎年恒例になってるわね。
ー成人の日だけじゃなくて、年度始まりにも「新入社員の君へ」
 ってメッセージ広告出してるよ。毎回今度はどんなこと
 言うんだろうって、ちょっと楽しみにしている。
ー広告会社がコピー考えてるんじゃなくて、伊集院さん自身が
 目の前の新成人に何を言えばいいだろうって、一生懸命考えてる
 気配があって印象的だわね。
ー今朝のメッセージは伊集院さんも随分丸くなったなぁ〜、って
 感じだったけどね。でもすごいのはサントリーって会社は
 このメッセージを大昔から出し続けてるってことなんだ。
 調べてみると、この年2回のメッセージ広告は1978年が最初
 だったらしい。
ーええっ、じゃ30年以上続いているってこと?
ー当初は山口瞳氏が毎回書いていたけど、95年に氏が亡くなって
 伊集院さんに引き継がれたんだ。どこの会社でも1回、2回
 思いつきでこういうメッセージ広告出すことあるかもしれないけど
 30年以上続けてるってのは他に例がないんじゃないかな。
ー経営者がそれだけ強い思いを持ち続けてきたってことよね。
ーお酒を醸すにはとても長い時間がかかる、それと同じで文化を
 醸すにもとても長い時間がかかる。でもそうして醸された文化の
 中で初めてお酒も生きるんだって、それはもう一貫した考えだね。
ーお酒も文化も時間っていう酵母が必要ってことね。
ーだから例えば他に先駆けて日本にサントリーホールという音楽専用
 ホールを作ったのもすごいけど、20何年という歳月をかけて世界
 屈指の名ホールに育てあげたのはもっとすごい。これを一企業で
 やったのだから国民栄誉賞を差し上げてもいいくらいだと思うよ。
ーそういえばサントリーのCMは大原麗子さん「長〜く愛して」の
 レッドといい、もっくん、宮沢りえの伊右衛門といいシリーズで
 長く続くのが多いわね。
ー記憶に残るCMがすごく多いね。でも統合相手のキリンに何か記憶に
 残るCMがある?統合して普通の会社になっちゃわないか心配だよ。

番外編:この記事を書きながらサントリーが缶ビールを発売したころ
    松田聖子唄によるペンギンのCMがすごく好きだったのを
    思い出しました。ビールは不味かったけどこのCMが好きだった
    のでガマンしてサントリービールを飲んでました。
    その後和久井映見さんの「モルツ、モルツ」の何代目かで
    突然旨くなり、今や「プレミアムモルツ」は味の絶対値では
    日本一のビールでないでしょうか。
    そのCMを永ちゃん父娘がやっているのはある意味感無量です。
    YouTubeにあったペンギンCM、よければご覧ください。

2010年1月1日金曜日

カミさま、仏さま



ーおめでとう!
ー昨日、NHKの「ゆく年、くる年」
 見ていてエエッ?って思うことが
 あったわよ。
ーどうしたんだ?
ー画面には石造りの鳥居が出ているん
 だけどアナウンスは「愛知県妙厳寺
 です」って言ってるのよ。
 「お寺に鳥居はないよ」って
 思ったわけ。
ーそしたら?
ーそのすぐ後で「一般には豊川稲荷として知られています。」
 って言うのよ。お稲荷さんは神社だよね。
 でもここではお稲荷さんはお寺なんだよ。おかしかない。
ー江戸時代まではお寺と神社は一緒だったからね。今でもお寺の中に
 神社の祠があることが多いだろ。その類いじゃないの。
ーちょっと違うのよ。ここは正真正銘お寺=稲荷なのよ。
ーもともと日本のカミさま、仏さまは大らかだったからね。
 もとからあったカミさまに外来の仏さまを合体させて
 一緒に信仰するなんて文化はヨソにはないんじゃないか。
ーそうなの?
ーそのカミさまだって、日本がまだ国を成す前、大小の氏族がみんな
 自分たちのカミさま奉じて抗争してただろ。
 ヨソの文化だったら天皇家のもと国が統一されたときに、今後
 信仰の対象は伊勢のカミさまだけ、ほかのカミさまは禁止となっても
 おかしくなかったと思うんだよね。
ー伊勢神宮は皇室の氏神さまだからね。
ーところがほかのカミさまも相変わらず信仰の対象として残り
 それどころか次次新しいカミさまも生まれ、あげくウチのカミさま
 にはこの仏さまってムコどのを選ぶみたいに仏さまと合体
 させちゃったんだから、こんなに大らかな話はないよね。
ー確かに西洋の厳格な一神教からするとこんな宗教ありえないよね。
ー明治維新は西洋の眼をすごく意識してたから、これは恥ずかしかった
 んだと思う。徹底して廃仏毀釈やっただろ。
ーこのとき破壊された仏さまも一杯あったんでしょ。
ーでも今考えれば、カミさまに対するこの大らかさが
 日本人の生活をすごく伸びやかなものにしてきたんじゃないかな。
 むしろこれからは他の宗教がこの大らかさを学ぶときだと思うよ。
ーお正月は神社に初詣、結婚式は教会でっていうのも捨てたもんじゃ
 ないわけね。
 
写真は元日の朝撮ったウチの庭の万両です。