—村上春樹さんが「エルサレム賞」っていうのを受賞したって
新聞に載ってたけど。
—正式には「社会における個人の自由のためのエルサレム賞」って
いうらしいよ。純粋にイスラエル国内の賞みたいだけど
過去の受賞者は錚々たる顔ぶれだね。
—受賞を辞退すべきだという声もあって迷ったが、「メッセージを
伝えるため」出席したと書かれてたわ。
—日本の報道ではガザ攻撃批判が「メッセージ」って印象だけど
本当かなって思ったんだよ。政治的言説と受け取られることを
慎重に避けてきた人だからね。
英語のスピーチっていうから現地の「エルサレムポスト」と
イギリスの「ガーディアン」で英語のコンテクストに
当たってみると、ガザ攻撃にも触れてはいるんだけど、むしろ
「卵」と「壁」の比喩で、卵=壊れやすく間違いを起こし壁の前では
無力な、しかしユニークでかけがえのない魂をもった個人に対し
壁=制度、システムは個人がおかしいと感じることも平気で
やらせようとする、自分はたとえ卵が間違っていようと卵の側に
立つ、壁がどんなに高く、暗く、冷たくても、我々は魂を寄せ集めて
壁と闘おう、システムに我々をコントロールさせてはならない、
我々が我々自身であるために、我々自身の体制を作ろう、っていう
メッセージなんだね。
—システムに抑圧されているすべての個人に対して、ともに闘おうって
いうメッセージだね。イスラエルでも、パレスチナでもない
個人の尊厳を大事にするもの同士連帯しようって呼びかけに
聞こえるね。
—それで思い出したけど、昨年村上さんはインタビューに答えて
こう言ってるんだよ。「物語は『精神的な囲い込み』に対抗する
ものでないといけない。いい物語は人の心を深く広くする。」
村上作品はヘブライ語にもアラビア語にも訳されているから
村上作品を読んだ人たちが心の中でどのように感じているか
聞いてみたいね。
3 件のコメント:
日本のマスコミ報道を見て、本当かな?と思っていたのですが、そうですか。確かに村上がこれまで政治的発言など踏み込んだことは記憶にないですね。当日の発言全体を追えるところはあるんでしょうか。
ぼくも原文のテキストを探してみたんですが、今のところ見当たりません。
時間が経てば出てくるかも知れないので、見つけたらお知らせしますね。
早速ありがとうございます。私も気をつけています。
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