2009年9月13日日曜日

大地の芸術祭


ー新潟の越後妻有の里で開かれていた「大地の芸術祭」も今日で
 閉幕だね。
ー何、それ?
ー十日町、津南町周辺の街や里山を舞台に3年に一度開かれる
 アートの祭典なんだ。今回は約370の作品が広大な地域の
 あちこちに点在している。世界のあちこちから著名な
 アーティストも参加してるんだよ。
ー370も作品があるんだったら、とても見て回れないじゃない。
ー全部見ることないんだ。ガイドブックをパラパラ見て
 気に入ったものを順に尋ねていけばいいんだ。
 自分好みのアート巡礼の旅を作ればいいんだよ。
 地図を広げ、作品の場所をポイントし、どう回るか
 あれこれプランを練るだけでも楽しいよ。
ー一カ所にまとめて作品を展示してあったほうが、見るのも
 見やすいし、他の作品と見比べることが出来るから
 いいんじゃないのかな。
ーこの芸術祭の醍醐味は単に作品そのものを鑑賞することじゃ
 ないんだ。この地域の人たちは太古の昔から、畑をつくり
 田をつくり、山を切り開いて見事な棚田をつくり、深い雪
 に閉じ込められる冬は糸を紡いで織物を織ってきた。
 そうして綿々と続いてきた長い時間のなかで、どの人にも
 どの家にも、どの集落にも豊かな物語が紡がれてきた。
 でも今や過疎の現実の中でそうした物語を紡いできた
 コミュニティーは風前の灯火になっている。
 そんなところに多くのアーティストが入ってきて、
 それぞれがそれぞれの物語にインスピレーションを受けて
 その物語を世界の人が普遍的な形で感じられるような
 ものに作り替えてるんだ。
 アートは物語の発信装置で、主人公は妻有の里を豊かに
 色どって来た物語そのものなんだよ。
ーなんだか難しいわね。
ー妻有の里では地域が崩壊して物語が消滅する寸前にこの
 フェスティバルが始まって物語はつなぎとめられたけど
 今や日本の街や里からどれだけの勢いで物語が消えつつ
 あるかを考えると、何かとりかえしのつかないことが
 起こってる気がする。
 それに誰よりも物語を必要としているのは、実は都会の
 根無し草のぼくたち自身だからね。
 論より証拠、今回は「大地の芸術祭秋版」をやるそうだから
 行ってみたら。
ー「物語」なんて言ったってわたしはよくわからないけど
 秋は空気も食べ物もおいしそうだから、行ってみたいな。

わたしの「妻有アート巡礼の旅」写真はこちらをどうぞ。
大地の芸術祭_09

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

旧松之山あたりの風景は心が穏やかになりますね。数年前にたまたま温泉行の途中でいくつかの芸術作品をみることができました。秋の紅葉もお勧め、じっくり滞在してみるのもいいのかも。

Kat-chan さんのコメント...

私は真夏に汗びっしょりで芸術祭巡りをしたことしかないのですが、きっと秋の紅葉は素晴らしいでしょうね。その時期ゆっくり温泉に浸る旅がしたい!