2010年6月13日日曜日

ベルベルの男


永井画廊の蔡さんの展覧会に「ベルベルの男」という
 彫りの深い表情が印象的な男のドローイングが出てたけど
 「ベルベル」って何なのかしらね?
ベルベル人って、モロッコにアラブ人が入ってくる前から
 住み着いていた民族らしくて、今ではモロッコの山間部に住んでる
 人が多いそうだよ。「ベルベル」というのはギリシア語の
 「バルバロイ」に由来するらしい。
ー訳のわからないことばをしゃべる人たちという意味の
 「バルバロイ」ね。でもどうして蔡さんの絵に登場するの?
ー蔡さんはこの5月にモロッコにスケッチツアーに出かけていて
 そこで出会った人たちなんだそうだ。
ー確かに深く皺がきざまれた意志的な表情は人をひきつけて
 離さない魅力があるわね。
ーベルベルの人は過酷な自然環境の中、ヨーロッパとアラブが
 入り乱れて興亡を繰り返した地で、相対的な弱者として
 忍従と屈服の歴史を強いられてきたそうなんだ。
 そうした民族の苦悩の歴史がその皺に刻み込まれているとすれば
 その表情を描きとることは、蔡さんが追求する「何来何去」に
 相応しいテーマだよね。
 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

確かに印象的な絵でした。そういう意味だったとは。