2011年6月13日月曜日

非現実的な夢想家


ーん、このタイトルは…
ーそう、村上春樹さんがカタロニア国際賞受賞スピーチで
 使っていた言葉。
ー日本で原発に疑問を呈する人は、経済の現実を直視しない
 「非現実的な夢想家」というレッテルを貼られてしまう、
 という文脈で使われていたわね。
ーそうだけど、ここではこの言葉を少し違う文脈で使ってみたい。
ーというと?
ー温暖化防止の国際公約として、鳩山さんがCO2、25%削減を
 ぶち上げたよね。
ー今となっては達成が絶望視されている目標ね。
ー現実的な人は当初からこの数字に懐疑的だったけど、
 民主党政権交代の象徴的数字として拍手喝采する人も多かった。
ー何も具体的根拠はなかったけど、エコ家電にどんどん取り替えて
 HVやEVを大量に導入して、風力や太陽光の発電を推進していけば
 日本ならやれるんじゃないの、ってムードもあったよね。
ーその上東電自体が大量に広告を投入してオール電化って煽ってたし、
 我々自身楽しくエコして明るい未来が開けるような錯覚に
 陥っていた。
ーその意味でみんな「非現実的な夢想家」だったってことね。
ーみんなじゃない、そのウラで現実的な企業家や政治屋はとんでも
 ないシナリオを用意していた。
ーどういうこと。
ーつまり現実的な人が用意した25%削減達成の切り札は原発14基
 増設ということだったんだ。
ー25%が葵の御紋になって原発を堂々と作れるってことね。
ー堂々と大金を落としてもらえるし、利権を手に入れられるって
 ことだよ。
ー空恐ろしい話だわね。
ー空恐ろしい話に危うく乗りかけてた。福島の人たちのあれだけの
 犠牲があってようやく目が覚めた。
 これって恥ずかしいことだよ。
ーでも電力がないと経済も暮らしも困ったことになるのも事実
 よね。
ーだからふんばらないといけない。福島であれだけ血が流れている
 のに、ぼくらが無傷でいていいはずがない。
 一人一人、どんな暮らしをするか、どんな生き方をするか
 身を削って考え実践していかないと。
 村上さんの言葉で言えば「素朴で黙々とした、忍耐を必要とする
 手仕事」を我々一人一人が始めないといけないんだと思う。

ご参考まで:村上氏の受賞スピーチ 動画テキスト

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