2010年5月9日日曜日

ポーランドと沖縄


ーショパンが生きた時代のポーランドはロシアの属国だったわね。
 王さまがロシア皇帝で。
ーそう、18世紀以降のポーランドは大国ロシアとドイツの狭間で
 何度もつらい目にあってるね。
 18世紀末にはロシアとプロイセン、オーストリアとの間で
 ポーランド分割が行われポーランドという国自体消滅して
 しまったし、ナポレオン戦争でフランス配下に入った後
 ウィーン会議でロシアの属国にされてしまう。
 独立を目指して民族蜂起が起き、ショパンが祖国愛に熱狂した
 のはこの頃だよ。
 ロシア革命後もソヴィエトとの間で戦争が起きているし、ドイツも
 何かにつけ干渉してくる。
 第二次大戦の引き金を引いたのはナチスドイツのポーランド侵攻だし
 ソヴィエト軍も当然攻め込んできて国土が戦場の修羅場になった。
 大戦後はまた長く厳しいソ連の圧政に苦しめられた…
ー両大国に挟まれているからって、あんまりだよね。
ーでもこのポーランドの歴史って沖縄の歴史と二重写しに見えないか?
ーというと?
ー沖縄も江戸時代までは琉球王国って独立国だったじゃないか。
 でもこちらは日本と中国の間で巧みに立ち回って一応の
 平和を保ってきた。
ー日本と中国の間に入った貿易で大きな富を築いたって聞いたことが
 あるわ。
ーポーランドと違って海で隔てられてるから、日本からも中国からも
 攻め込まれることはなかったんだね。逆に琉球がそこにあることが
 日本にとっても中国にとっても利用価値がすごく大きかったんだ。
 でも明治政府になって、圧倒的な力の差で日本に組み入れられて
 しまう。
ー中国は何も動かなかったの?
ー当時の清にはもうそんな国力はなかったんだ。
 日本に組み入れられた後の沖縄は開発から取り残され
 本土から見るとずいぶん貧しい生活だったらしい。
 それが第二次大戦では日本を守るため、唯一地上戦の戦場に
 なってしまった。
ー沖縄の人が差別されてるって感じるのは、そこら辺にも原因が
 あるわね。
ー自分たちの島なのに、自分たちの思いと関係なく大国の思惑に
 翻弄される歴史があり現実がある。それが許せないんだよ。
 
 

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「棄民」という言葉を思い出します。旧満州、南洋や南米移民、肝炎患者などなど。もちろん安全保障は重要で沖縄の地域的特性も考えなければなりませんが、あまりにも「民」や「民心」を軽視しているように思えます。わが国の政治家(官僚)の思考回路の根幹が問われているissue、練習問題でしたが、まったくトップからして落第でした。