—年末の第九狂騒曲もボチボチ終息だね。
—「狂騒」って年末の第九にネガティヴなわけ?
—ネガティヴってわけじゃないけど、ちょっと微妙かな。
年の終わりに第九を聴いて一年を振り返るのは悪くない習慣だと
思うし、財政事情の苦しいオーケストラにとって年越しのもち代を
稼げるありがたい機会だからね。
—じゃ何が気にくわないのよ。
—12月、第九の演奏会が洪水のようにあって、どの演奏会も
結構人がたくさん入るってのが、なんかちょっと変だなぁって…
コンサート情報誌を数えた人がいて、今年の12月、日本全国で
170回も第九コンサートがあるらしいんだよ。
音楽って趣味の問題だから、人によって、時によって、
聴きたい曲はバラバラなのが普通じゃないか?
—年末、第九で合唱するのが楽しみだって人が一杯いるし
それを聴くのが楽しみって人もたくさんいるんだから。
日本じゃみんなでお祭りみたいにするのが好きなんだよ。
それに水を差すことないじゃない。
—ソレ、ソレ、第九の合唱だけスポットライトが当たって
前の3楽章は前座みたいになってるのも悔しいんだよね。
第三楽章アダージョはこの世で一番美しいアダージョだと思うし、
合唱はもういいからこのアダージョで曲を終わりにして!
って思うことだってあるよ。
—注文の多い聴き手だね。
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