2008年10月24日金曜日

アリの生活


ーつい最近まで、日本はいざなぎ越えだ、戦後最長の景気拡大だって
 浮かれてたよな。
 オレ達にはそんな実感、全然なかったけどさ。
ー経済を数字で見るとそうだったんだろ。
 ただバブルのトラウマで、どの企業も自己資本増強に血道を上げて
 来たからね。「厳しい国際競争に勝ち残れない。」って言うのを
 殺し文句に、従業員の給料は全く上げてないんだ。
 むしろ「アウトソース」なんてことばを隠れ蓑にして、賃金をどんどん
 切り詰めてきたからね。
 給料上がらないは、リストラされるんじゃないかって
 恐怖感あるはじゃ、お金なんて使ってられないよ。
ーお年寄りや年金生活者だってひどいもんだよ。
 もう何年も実質金利ゼロみたいなもんだから、預金してたって
 何の足しにもならない。挙げ句、悪徳業者の投資話に乗せられて
 スッピンにされてしまう。ひどすぎないか。
ーで、本来オレ達が使えるはずだったお金は、企業が直接海外投資
 したり、利回りのいい海外債券投資に使ってきたわけだ。
 その上、海外の投資ファンドも金利実質ゼロの円をバンバン借りて
 高利回りの債券投資で大儲けだったからね。
 その中にはサブプライム組み込みなんてのが一杯あったはずだよ。
ー結局オレ達が使えなかったお金は、回り回ってキリギリスの生活を
 支えてたってわけだ。しかもそのツケはてきめんに食らってる。
 全く報われないじゃないか。
 富の再分配が政治の最大の役割って聞いたことあるけど
 少なくともオレ達には政治がその役割を果たしてきたとは
 思えないよな。

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