―もう1日、源氏ネタで行こうっと。
毎日話題をひねり出すのは大変なんだから。
―そうなの? 結構スイスイ出てくるのかと思ってたわ。
で、今日は何の話?
―源氏五十四帖の中に名前だけがあって中身のない巻が
あるのを知ってる?
―知らない。
―「雲隠」という巻なんだけど、この巻では光源氏の死を
描いてるんだよね。並の作者だったら、主人公の死という
クライマックスだから、盛り上げに盛り上げようとするだろう。
「雲隠」って題だけ見せて中身を何にも書かなかった紫式部は
本当にすごいと思う。
絵巻物でよくあるだろ、画面を金斗雲みたいなので覆って
その次の場面は前の場面とは全く別の話になっちゃうヤツ。
これを物語でやってんだよ。事の仔細は読者のみなさん
どうぞ想像の羽をのばして、ご自分で考えてくださいって。
とってもクールだと思わないか?
―なるほど。中身がないんじゃなくって、無限の中身を持ってる
ってことね。かっこいいなぁ。
蛇足のお断り:
「雲隠」に中身がない理由については諸説あります。念のため。
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